第五話
惑星間をつなぐもの①
少年は、夢を見ていた。重力に身をまかせ、
なつかしいふるさとで待つ
音もなく不時着したとある宇宙人。その思いにこたえるように、星のカケラはその少年の心の
『……それで、ユウは今どこにいるの? たしか
一時的に自由の身となった母さんが僕にたずねる。そうだ、とりあえずこちらも
「実は、原石をあつめている
『なくした? 星のカケラを?』
「そう、だからあと一つ見つけるまではそっちに帰れそうにないんだ」
『そっか……。そうだったのね……』
母さんはそう言ったっきり口をつぐんだ。気まずい
『よかった……!
母さんは泣いているみたいだった。今ごろ実感がわいてきたのだろうか。
「なんだよ。さっきも無事かどうか確認してたじゃないか」
『だって、あんた……! 私が、私たちがどれだけ心配したと思ってるの! まったく……』
そうか、両親は心配してくれていたんだ。
『ユウ……もしかして、泣いてる?』
「べ、べつに……。ちょっと鼻がムズムズするだけ」
母さんのほほえみが、通信ごしに見えたような気がした。
『とにかく、早く
「……うん」
『もし、こまったことがあったらいつでも通信していいからね』
「……うん!」
『それじゃあ、またね。ユウ』
そう言って通信は切れた。問題は
「よし、さがすぞ!」
僕は気持ちをきりかえて、地平線から顔をのぞかせた朝日にコンパスをそっとかざした。
やる気があふれていたのもつかの間、僕は目的を
いつもなら星のカケラに
母さんに
その後も
いつの間にか、太陽は半分ほどしずんでしまっている。夕日が僕の
視線が、ゆっくりとそのシルエットを追う。黒いズボン、白いシャツ。そして、
「なんだ、お前まだ星に帰ってなかったのか?」
その言葉とは
僕はソラにたくさんのことを話した。星のカケラが四つあつまったこと、タアス星で起きているナゾの
「なるほどな……。よくわからないけど、お前がピンチだってのはよくわかったよ」
ソラはうずくまる僕の
「……あの時のおれい。そういえばまだだったな」
「え?」
「
僕の目をまっすぐ見て、ソラはそう言った。
「……いいの?」
「だから、そう言ってるじゃん」
「それに、面白そうだし」とつぶやいてソラは
『ガッ……ガガッ……』
不意に、
「お、おい! どうしたんだ、だいじょうぶか?」
「ごめん、急に通信が入ったから、おどろいちゃって」
「通信……? 俺には何も聞こえないぞ」
その言葉に
『アツメロ……タリナイ、ネガウチカラ……』
「なんなんだよ! 一体だれだ、こんなふざけた通信をしているのは!」
「おい、落ちつけって。なんだ、何が聞こえてるっていうんだ?」
この声、ソラには聞こえていないのか? もうわけがわからない。だが、その
『ワレワレハ……ウチュウセイメイタイ……』
とつぜん、あれだけ重なっていた声が消え、一つの声が僕の質問に答えた。
「宇宙生命体?」
『ウチュウセイメイタイ
今度はべつの声が、僕に語りかけてきた。
「ARTS……? でも、そんな名前聞いたことが……」
『マタノナヲ……ホシノ、カケラ』
「星の、カケラ……? カケラが生命体だって!?」
「えっ!? マジで?」
僕の言葉につられてソラも目を見開く。
『ソウダ、ワレワレハ、イキテイル。ワレワレハ、オマエガアツメタ、カケラ。ワレワレノナカマ、タアスセイデ、クルシンデイル』
「仲間が? それって次々にカケラが消えていることと関係しているのか?」
その言葉に、ARTSたちは口々に「ソウダ」と返してきた。
「なあ、俺には聞こえないからなんとも言えないが……。もしもその事に関係しているなら、これってチャンスじゃないか? ひょっとしたら、解決の糸口が見えるかもしれないぞ」
ソラの言う通りだ。母さんは「まかせて」なんて言っていたけど、僕だって両親の役に立ちたい。僕はもう少しだけ、このカケラの声に耳をかたむけることにした。
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