もう一度だけあの星空を④
病院につくころには、すでに昼。太陽は僕の真上でさんさんとかがやいていて、その日差しと
きのうの
会ったら、まず
僕が思わず
ドアからあふれた白い人々が、一つのベッドをゆっくりとどこかに
「教授、本当によろしいのですか?」
「ああ、さっきの
「……あなたが、そうおっしゃるなら」
カラカラとベッドの行進はつづく。うしろのほうにいた、えらそうな人たちの話はよくわからなかったけれど、きっとなにかいいことがあったのだと思う。話す二人はどちらとも、彼女の寝顔を見てほほえんでいたのだから。
アイが大きな部屋に運ばれてからしばらくして、彼女の母親もおくれてその場にやってきた。そうとう急いだのか、呼吸もおぼつかないほどに息を切らして、ひたいの
「あっ、あの!
「おちついてください、おかあさま。だいじょうぶ、
「で、でもっ……。費用の、
「それも、ご
「それは、一体どういう……?」
「くわしいことは……手術が無事、おわってからにしましょう」
教授は白衣をひるがえしてすすむ。その背中は、まるでたたかいにおもむく
「……娘を、アイを、お願いします!」
アイの母は、目からつたう涙はそのままに、しっかりと足をそろえ
どれほどの時間がたったのだろう。外はすでに真っ暗で、
不意に、あたりを照らしていた赤が
立ち上がるアイの母親。とびらから姿をあらわす人々。まるで、ここだけゆっくりと時間が流れているような。そんな
「……
涙とともに走る
叶った。叶ったんだ。その重みを両手でしっかりと抱きしめて、僕はだれにもバレないようにこっそり涙ぐんだ。
夜空には、今日もたくさんの星がまたたいている。今はまだダメかもしれないけれど、いつかこの星空が、この光がアイにとどけばいいなと、そう
宇宙船の
そういえば、宇宙船の
そんなことを考えながらダイヤルにふれたその
『ガッ……ガガッ……』
通信だ! 僕は
『……アツメロ。タリナイ、ネガウチカラ……。モットアツメロ……』
「な、なんだ……これ……」
それは、地の
『……聞こえる? だれか、いるの?』
先ほどとはうってかわって、聞きおぼえのある声がした。どこかなつかしくて、むねがせつなくなるような、そんな声。
「……こちら、
『ユウ……? 本当に、ユウなの!? よかった、無事だったのね!』
そうか、思い出した。この声、この明るい声は……。
「かあ、さん……? 母さん!? なん、で」
『父さんも近くにいるわ。今はちょっと
「緊急、事態? 一体、タアス星で何が起こっているの?」
『……そっか、ユウは今、タアス星にはいないのよね』
母さんは小さく息をついたあと、ためらいながらもゆっくりとその口をひらいた。
『……あのね、おちついて聞いてちょうだい』
『タアス星にあった星のカケラが、つぎつぎと色をうしなって消えていってるの。今、この瞬間も』
その言葉の意味を、それがどれだけ
『残っているわずかなカケラではタアス星を
それはそうだろう。聞いているだけの僕ですら、冷や汗が止まらないのだから。
『……聞いてる? ユウ? ユウ!』
「だいじょうぶ、聞こえてるよ。母さん」
こまったことに、カケラがなければ
先の見えない絶望の中、僕は
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