第三話
きらきら星になりたい①
わたしは夜が好きだ。しずかで真っ暗で、星と月の光だけが空を引き立て、かがやかせる。他のだれにもじゃまされない、わたしたちだけの時間。そんな夜をあなたといっしょに
「あ! あれ見て、ミイちゃん。流れ星だよ、流れ星」
「ニャーン」
「きれいだねえ……。もう長いこと生きたけど、流れ星をみたのは何年ぶりかねえ……」
「ンナゴッ、グルルル」
「おや、もうお
「どうせ
ネコはそれに
この星に
「フシャー!」
「……ミイちゃん? どうかしたのかしら」
カケラがありそうな家を
「そうだ、
地球に来てからはもっぱら人間の言葉ばかりを翻訳して聞いていたが、カケラの力によって、
ためしに、ミイと呼ばれていたこの小さな生き物の言い分を聞いてみようと思い、コンパスのボタンを指で何度かはじく。はじかれるたびにコンパスがふるえ、ただの
「
「#%$€^*+?」
まあ、そこまでの
向こうがこちらの
するとたちまち、僕の
「あら、あなた……ミイちゃんのお友達?」
どうやらいきおいで翻訳のほうも元にもどしてしまったらしい。チエと呼ばれていた地球人は、僕を見つけるとひょいと持ち上げてうれしそうに笑った。
「かわいいネコちゃんねー。お名前は?
こうしているあいだにも、足もとからミイの
「なんか
ボタンを手さぐりでいじったせいか、僕はミイを完全にマネできたわけじゃなかった。でも逆に、全く同じ毛並みの動物が二匹もいたらそれこそあやしまれてしまうことを考えれば、むしろ不完全でよかったとすら思った。ブチか。ブチ……うん、いい名前だ。
「ニャーン」
僕はミイをまねるように
マネされた三毛ネコのミイはというと、ただ
どうやらチエは、この大きな家に一人でくらしているようだった。いや、正確には一人と一匹だろうか。
「ミイちゃん、ブチー!」
チエは僕らの名前を呼びながら、水の入った皿を二つ床においた。ついさっきまでうたたねしていたミイはピクリと耳だけを動かし、めんどくさいと言わんばかりに大きくあくびをした。僕もつい、それにつられて口が開いてしまう。
「ちょっと、ダメよ。
そう言って皿をグッと目の前に押し出すと、チエはまた部屋の
パシ、と横からその手をはたかれる。見ればミイが
「ンナゴロッ、フシャー!」
どうやら、かなりおこらせてしまっているらしい。僕はあわててコンパスのチューニングをネコ用に合わせた。
「あなた、急にわたしにさわっただけでなくそんな子供だましの姿になって、あろうことかチエにとりいるなんて一体どういうつもり?」
「どうって言われても……その……」
「大体、気配はあるのに見えなかった時点であやしすぎるわ! もしチエに何かしたら、
フン、とミイはそっぽを向いて、かわいた舌をうるおすようにチロチロとおかれた水をなめ始めた。
「……別にお前たちに何かする気はない。むしろ彼女の願いを叶えるためにここに来たんだ」
僕がそう言うと、ミイはピタリと水を飲むのをやめた。水面はいまだ、ミイの
「願い……? チエの?」
「そう、少し前に流星群があっただろ。その時、何かお願いしていなかったか?」
ミイは記憶をたどるようにうつむき、しっぽをゆらす。その
「……ただ願いを叶えるだけなんて、いくらなんでも
「僕? 僕は……」
僕らは今、チエから見えない
水面が、ほんの
「僕は、別の星から来た、宇宙人だよ」
その瞬間、ミイの
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