第18話《晩餐②》

豪勢な料理と高級な酒が、食卓を埋め尽くしている。


一族、そしてシルエットとリックが笑顔で食事をしており

メイソンの隣にはリックが座っていた。


「リック君!君は実に面白い!」

「いやいや、そんな事ないよ」

2人は大分、酒が回っている様子だった。


「旨い食事に、美味い酒、山ほどあるから、ほら!

                   腹いっぱいに収めろ!」


陽気なメイソンはリックに、ワインを注ぐ。


「しかし…強いな?どれだけ呑むんだよ」

「私はこんなもんじゃない!まだまだ、若い者には負けんよ!」


するとメイソンは、ワインの入ったグラスを呑み干す。

「すげぇ~なぁ…」

呆気にとられるリック。

すると、リックはメイソンの指に注目した。

「それは?」

どうやらメイソンは、指を怪我していた。


「あぁ、これか?ちょっと切ってしまったんだ」

「大丈夫か?」

メイソンは怪我をした指を見ながら

「大した事は無い。傷はココだけじゃない」

リックは、どうしたんだ?と、いったような表情で

「他にも、怪我したのか?」

質問をすると、メイソンは、ゆっくりリックの顔に

自分の顔を近づけ、胸に手を当てながら、こう言った。


「傷は…ココにもある。なんてな!わっははは」

メイソンは、笑い飛ばした。

「はははっ」

愛想笑いを浮かべるリックに、

メイソンがとても意味深い様な雰囲気で言った。


「傷は癒えるが…傷跡は一生残る。だから…忘れる事は出来ない」


メイソンの言葉を聞いたリックは

少し違和感を感じ、胸騒ぎがした。

「まぁ、呑め!」

メイソンは、リックにワインを注ぐ。


一方、

シルエットは、少し離れた所の窓際に立っていた。

そして、そこにルークがやって来た。


「お口に合いませんでしたか?」

心配そうにシルエットの顔を覗くルークに対し

「いえ、もうお腹がいっぱいで。

       ともて美味しかったです。ありがとうございます」


ルークは、とても穏やかな表情で

「それは、良かったです」そう答えた。


シルエットは、窓外の向こう側にある、建物を見ながら

「あの建物は?」

シルエットがルークに尋ねた。

「あの建物は以前、私と妻と娘が住まわせて頂いておりました」

なるほど、っといった様子でシルエットが

「今は?」っと、現状を聞く。


「はい。あの建物は、この邸から少し離れておりますので

 一族の皆様のご心配も御座いますので

 いつでも仕えるられる様この邸の方へと移り住んでおり

 今あの建物は物置の様になっております」


すると、メイソンがルークを呼ぶ。

「ルーク!ワインを持ってきてくれ!」

メイソンの声を聞いたルークが返事をする。

「かしこまりました。すぐ、お持ちします」

そう言って、ルークはシルエットに挨拶をし、その場を離れた。


ふと、シルエットはリックの言葉を思い出した。



回想シーン

リック「ポケットチーフって大事な物か?」



「…」

シルエットは遠くにいる

ルークのポケットチーフを見つめていた。


「まさか…そんな事はない…」

そう思うシルエットは、また思いを返す。



回想シーン

シルエットが読んでいる新聞には、ある言葉が書かれていた。


《決まった答えなどない》



シルエットは考え込んでいる様子。

するとシルエットの元に、今度はリックがやって来る。


「どうしたんだ?浮かない顔して」

シルエットに元気がない事を、心配しているリック。


「君はかなりご機嫌だな?」

「いやぁ~呑まされちゃって。あははは」

リックは酒に酔っている様子だが、シルエットは真面目な様子で

リックに先程の建物を指差しながら言った。


「あそこを見てくれ」

シルエットが、リックに伝えた。


「明日の朝、あそこに行こう」

「ん?なんだ、あそこは?」

酒臭いリックに対し、シルエットは顔を背ける。


「とりあえず明日だ」

そう言ってシルエットは、去って行った。

「はぁ~い~また明日ぁ~」

リックは、フラフラな状態になっていた。


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