第16話《やり方》
シルエットとリックは外に出て、
先程のアンジェリーナの件について、歩きながら話していた。
「犯人に狙われてアンジェリーナさんは襲われた訳ではなかった」
「確かに。たまたまという偶然が引き起こしたって訳だ。でも…」
リックの言葉を代弁するかの様に、シルエットが言った。
「でも…アンジェリーナさんは、こう言っていた。
『知らいない人ではない気がする』っと…」
リックはシルエットの言葉に頷き、自分の考えを言った。
「今回の件については、
犯人がアンジェリーナを狙い襲った訳ではないが
でも、邸内の人物であれば、
自分とぶつかった相手がアンジェリーナだと分かっていたら
アンジェリーナを介抱した筈。
倒れ込んで意識を失っているアンジェリーナを放置したのは
自分の存在を誰にも見られたくない
知られたくないと思っている、犯人だからだ」
シルエットは口元に手を当てながら、こう答えた。
「断定は出来ないが、おそらく
今回アンジェリーナさんと犯人が接触した可能性は非常に高い。
同時に、これまでの犯人の卑劣な行動を見ると
アンジェリーナさんが犠牲者となる可能性も非常に高い。
犯人と衝突をし、意識を失ってはいたが犯人からすると
もしかしたら自分の顔を見られた可能性があると考えるのは
意外なことではない」
「やっぱり…そうだよなぁ」
リックは、深い溜息を吐く。
「今回の件、警察は動くのか?」
リックが尋ねるとシルエットは
やりきれない気持ちを表すかのような表情で答えた。
「今回の件について、先程ルークさんと話をしたが
アンジェリーナさんは幸い、重症を追っている訳ではないので
事を大事にするのも、邸の人達にも迷惑が掛かり
何よりもアンジェリーナさんの心身を考えて
事を荒立てずに納めたい、と言っていた」
納得のいかないリックは、シルエットに声を荒立てながら言った。
「確かに、アンジェリーナの気持ちを考えての事だっていうのは
俺にも分かる。
でも、あの出入り口付近の足跡とか調べたら
何か犯人に繋がる物が見つかるんじゃないのか?
もしくは、アンジェリーナを安全な場所へ避難させるとか
色々な方法があるだろ」
リックは怒りをあらわにするが、シルエットは冷静に反論する。
「確かに君の言う事も正しい。
だが、事を大事にした時
犯人に余計な刺激を与える事にもなりかねない。
君がアンジェリーナさんを大切に思う気持ちで
犠牲者にはさせたくないと考えている様に
私としても、これ以上の犠牲者を出す訳にはいかない」
シルエットは、怒りにも似た感情をリックにぶつけた。
リックは両手を一瞬上げ、
シルエットに向け、吐き捨てるかの様に言った。
「残念だが、アンタのやり方は俺には合わないようだ」
すると、
リックはシルエットに背を向け、その場を去ろうとする。
「…」
シルエットは溜息を吐き、リックの背中を見送った。
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