第3話「お化けに関する考察①」
僕に霊感やら特殊能力があるとは思えないが、これまでの人生で何度となく『幽霊らしきモノ(以下、オバケ)』を見た事がある。
見えるだけで祓うとかはできないし、やり方もわからない。知りたいとも思わない。
ついでに言えば、僕が『オバケを見た事(見える事)』も『自分なりに出した結論』も、これまでに誰にも話したことはない。
だってそうでしょう?
「僕って霊感があってさ~ お前の後ろにも~」
なんて事を言いだしたら、他人に気持ち悪がられるだけだし、両親にも心配されてしまうのは目に見えてる。物心がつく頃には「黙っとこ」という結論にも至るものだ。
また、幸いにも意識して見えるわけでもなく、年に数回ぐらいの頻度で忘れた頃に見えてしまうレベルなので「誰かに話すまでもない」と冷静に判断できたわけだ。
また、見てしまった事よりも、オバケの正体の方に意識が行くので、それ以外の事は自分にとって興味がなかったとも言える。
思えば両親も理系、祖父母も理系、なんならご先祖さんも超理系という遺伝子レベルで理系だからか、オバケを観測して驚いた次の瞬間には「あれは何だ?」という疑問と知的好奇心の方が恐怖心より勝ってしまうのかもしれない。
オバケより怖いぞ理系の血。
また『オバケ=幽霊らしきモノ』と書いた理由もここにある。どういう訳か、僕一人でしかオバケを観測できた事がなく、この観測に客観性がないのがひとつ。
もうひとつは、アレがオバケであるという保証が無いからだ。
例えばコレがゲンジボタルであったら、誰かと一緒に観測し、捕まえて図鑑と照らし合わせて調べて『ゲンジボタル』であると証明できるものだが、オバケときたら消えるし捕まえられないし話はできないしで、いっそ幻覚ぐらいの結論で済ませてやろうかと思うぐらい。
ただ、幻覚で済ませるには疑問が残る所が多々あるのも主観的事実。それで自分なりにオバケの正体について考えに考えた結果、『あ~ コレかもしれないな~』という結論は出たのだった。
前置きが長くなった。オバケの話をしよう。
まず、自分が観測するオバケは、今のところ3つのパターンに分類される。
①地縛霊的なオバケ
②生霊的なオバケ
③メッセンジャー的なオバケ
長くなるので、話を分ける。
まずは、①地縛霊的なオバケから。
①地縛霊的なオバケ
【現象】
そもそもこういう場所は多いのではないだろうか?
所謂、飛び降り自殺が頻繁に起こったとかいう古い公営団地。
友達のひとりが公営団地の近くに住んでるので夜に遊びに行くと、同じオバケに何度か出くわす。
屋上からオッサンが降ってきて、地面にぶつかって消える。
なお、地面にぶつかる時の音が聞こえないのは不幸中の幸いだと思ってる。
【対処法】
最初の頃は驚いたもんだが、慣れてくると「ああ、またか」という気分になる。
屋上を見上げると、そのオッサンがまた降ってくる事があるので素通りするようにしている。
【考察①】
自分が死んだ事を理解できていない可哀想なオッサンの思念というか思考というか、そういう物なのだと思う。便宜的に『魂』と僕は呼んでいる。
目的(飛び降り)を達成した事を理解できていないので、延々と繰り返しているのかもしれない。
いつか魂と呼ばれるパーツが実体として存在すると証明される日が来たら、なんとかしてやってほしいと思う。
【考察②】
この場所(団地)に録画された映像的なものかもしれない。この場所にその録画を焼き付けたのは他ならぬ「落ちてきた本人」なのだろうと思う。そして、ごく少数かもしれないが録画を再生できるコツなり能力なり欠陥がある人が「霊能力者」って者なのかも。この仮定が成立されるなら、この場所が取り壊されたら自然と消えるかもしれない。
個人的にはコレが一番しっくりきている。
【個人的な結論】
自殺ダメ絶対。
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