共感

六野みさお

第1話 共感

目を開けると共感の波がある

押しつぶすようにやってくる


昨日の僕の何したも

今日のだれかの何するも

共感のためになされている


ひとつのたまたまよくできた共感が

大衆を引きずって圧力をかけて

見えない闘争を僕たちに求めている


成功も没落も幸福も不幸も

怒りも絶望も糾弾も扇動も

すべてが共感を求めてさまよっている


共感の資格を共感するとか

共感の原理を共感するとか

ただみんな一枚岩になりたがっている


そんな共感に正面から抗って

自分は自分だって言っている人に

憧れないかと言ったら嘘になるけど

積み上げたものが崩れるのが怖くて

今日も何個目かの方で話している

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

共感 六野みさお @rikunomisao

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ