俺の彼女は……
俺の彼女は我儘だ。
物を
それでも俺は彼女のことが好きだから、強く反論できずに彼女の言うことを聞いてしまう。甘やかす。
彼女のその行為は、どんどんエスカレートして行った。
その願いを聞き入れるたびに、彼女は堪らなく可愛い笑顔を俺に向けてくれる。
その笑顔が見たくて俺は彼女の願いを聞いてしまう。
そんな関係をもう三年も続けていた。
そして今日のデートに彼女は来なかった。
遅れる事はいつもの事だったけど、連絡がつかない事はなかった。
30分、1時間と待ち合わせ場所で待つ。
その間、連絡を取ろうとしても連絡はつかない。
1時間半が過ぎたところで彼女から位置情報が送られてきた。
すぐに電話をかけたけど、電源が切られていて繋がらない。
焦る気持ちで送られてきた位置情報の場所へ走る。
その場所はいわゆるラブホテル。
入口の脇で彼女に電話をかけるけど、電源は入っていないまま。
何かの間違いであってくれ、と思いながら1時間が経過した。
ラブホから出てくる人がいる度に心臓が跳ねる。彼女じゃ無かった事に安堵を繰り返す。
最後に彼女に電話をかけて、もう帰ろうと思い発信ボタンを押す。
呼び出し音が鳴った!
「もし『もしもし』」
彼女の声が少しずれて両方の耳に聞こえた。
ラブホを振り返ると、そこには彼女と知らない男が腕を組んでいた。
「あっ……」
青ざめた彼女が声を溢し口をつぐむ。
ショックのあまり俺はその場から走り去った。
ラブホテルから男と腕を組んで出て来た。それだけで何がおこなわれていたか、子供じゃないから察しがつく。
俺の彼女は寝取られた。
家に戻った俺は、彼女から貰ったもの、彼女の私物、彼女との思い出それら全てをごみ袋に放り込んだ。
スマホの中の連絡先もブロックして削除した。写真も全て削除してやる。
初めて彼女と二人で撮った写真、幸せそうに笑う彼女。それら全てが憎らしい。
彼女に関するものの処分を済ませた俺は部屋の中で
溢れ出る涙が止まらない、彼女のことが大好きだった……
俺を好きだった彼女はもういない……
____________________________________
私には三年付き合っている彼氏がいる。
彼は私の我儘に文句は言うけど、最後には聞いてくれる優しい人。
デートの準備に時間がかかっても待っていてくれる人。
でも、彼とのセックスは好きだけど、満足できない。
優しくて大切にしてくれてるのはわかる。でも満足できない。理屈じゃないの。元カレの方が私を満足させてくれた。
デートを明日に控えたその日に元カレとバッタリ再開した。
たわいのない話をしながらお酒も飲んだ。
誘われるままラブホについて行った。
元カレとのセックスは気持ちよかった。彼では満足できなかった私の身体は充たされていく。何度も何度も、元カレを求め、気が付けばデートの日。待ち合わせ時間を過ぎていた。
頭が真っ白になった。どうしよう、連絡する?でも、なんていうの?
混乱する私の腕を元カレが引き、後ろから私の中に突き入れてくる。
何度も腰を打ちつけられるうちに私は思考を放棄した。
スマホに何度か着信があったけれど出ることはできなかった。
もう待ち合わせを2時間近く過ぎてる。
さすがの彼も帰っただろうな、悪いことをしたなぁ……
それからも元カレが私を求めてきたので私はそれを受け入れた。
元カレと私、身体の相性は最高にいい。でも性格は合わない。だから、一緒にいるのは彼がいい。
ラブホを出る時に何故か落ちていたスマホの電源を入れた。
起動した直後に着信。
反射的に受話ボタンをタップした。
「もしもし……」
その言葉を最後に私は動けなくなった。
目の前に最愛の彼が立っている。
信じられないものを見る目、蔑んだ目を私に向けて……
こんな目をする彼を私は見たことがない……
何か言わなくちゃ、でも、何を言えばいいの……
私が声をかけるより先に、彼は走り去っていく。
私は追いかけることができなかった。
「あっはあ!あいつか、今の男は!」
隣にいる元カレの言葉が何を言っているのかわからない。
「しつこく電話してくるから、あいつにここの位置情報、教えてやったんだよ」
全てコイツのせいか!
手にしたバックを元カレに叩きつけるが
「おいおい、お前があいつとのセックスに満足できないって言うから相手してやったのになんで怒ってるんだ」
私は唇を噛んで何も言い返せなかった。
「またしたくなったら、連絡してこいよ!空いてたら相手してやるから!」
そう言って、私を残して元カレは去っていった。
悔しくて涙が溢れた。
それから何度、彼に連絡をしても繋がらない。
彼の部屋に行こう。許してもらえなくても、彼に謝ろう。
彼に与えられる事が当たり前になっていた私は過ちを犯した。
元カレの浮気が原因で別れた私が、元カレとセックスをした。
私は彼のことが大好きで、でも身体は充たされないから元カレを求めた。
もう、私が許されることはないかもしれない。それでも彼に謝りたかった。
涙を拭うこともせず彼の家を目指した。
彼の住むアパートの前で佇む。勇気が出ない。足が震える。
一歩を踏み出すことができずにいると、彼がゴミ袋を持って集積所に持って行っていた。
袋から透けて見える物は私との思い出の品……
彼は私を許してくれない……
絶望した。もう、彼に会えない。会う事は許されない。
彼との思い出の品の入った袋を手に私は家に帰った。
いつもの彼なら謝れば、許してくれると勘違いしていた。
自分のしたことで彼を傷つけた、彼に謝りたかった、許して欲しかった。
彼は私との関係を終わらせたんだ。
もう、思い出も見たくないんだ。
私は彼のことが大好きだった、でも、もう彼は私を許してくれない。
馬鹿な私のせいで、あの優しかった彼はもういない……
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お読みいただきありがとうございます。
小説を書き始めて間も無く2週間になります。
思いのまま綴ったこのお話しの反響が多くて驚いています。
2000PVを超えたので執筆。
(これほど読んでいただけると思っていませんでした)
最初の僕とは別の彼の恋模様になります。
楽しんで頂ければ幸いです。
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