第9話 ヒナとわたしの毎日

ガサゴソ、ガサゴソと何やらハウスの中で落ち着かないヒナ。


キッチンペーパーを自分の居心地のいいように動かしている。


隙間から私の顔を確認すると「ピッ!」と挨拶してくれた(´艸`*)



最近ではお腹が減るとハウスから口を開けた状態で勢いよく飛び出してくることもしばしば。


肩のケガもだいぶ良くなって、傷跡の周りに産毛が生えてきた。



夜中に目覚めては「ヒナがちゃんと寝れているか」を確認。

朝の薄明り、ヒナの「ピッ ピッ」で1日が始まる。

バイトから帰宅しヒナに声をかけ、お腹を減らしたヒナに食事を与える。


『ヒナ、おはよう 』

『ヒナ、元気?』

『ヒナ、お腹減った?』


『ヒナ、おやすみ。また明日ね 』


そんな毎日が1週間続いた。



羽を大きく広げてみせる姿に「ヒナが自然へ帰る日」を近くに感じた。


今日は雨上がりの爽やかな五月晴れ。


いつものようにクーラーボックスにヒナを入れてお散歩をする。


電線に雀が何匹かとまっている。



もしかしたら、私がいなければヒナの近くに来てくれるかも。



私はクーラーボックスを涼しそうな木陰に置いた。


ヒナは私を見て「ピッ ピッ」と鳴いている。


『ヒナ、もしかしたらお母さんが来るかもよ。私、あそこで見守っているから 』


「ピッ」


電柱の陰に隠れながら雀たちがヒナの近くに来てくれることを願った。

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