第8話 お散歩
*3日目
月曜という平日には、ヒナを見てくれる人はいない。
朝8:30バイトに出かける直前まで 目一杯のご飯を食べさせると、午後1:30まで空腹を我慢してもらうしかなかった。
元気なヒナなら頑張ってくれることを信じて。
私が帰って来るなりヒナはハウスから口を開けて飛び出してきた。
*4日目
バイトから帰り、フットハウスを見るとヒナが居ない。
フットハウスと私の部屋はバリヤフリー状態。
ヒナが好んでハウスから出ることはないから囲む必要もなかった。
『ヒナ! ヒナ! どこに行ったの? 』
声を出して呼んでみた。
「ピピッ ピッ」
耳を澄ますと洋服ダンスのほうからだ。
懐中電灯を照らしてみるとタンスの裏隅にヒナがいた。
布団叩きでヒナを隙間から追い立てるとタンスの隙間から出て来た。
羽をパタパタさせながら歩くヒナ。
両手で
『ごめんね。お腹が減ったんだね。すぐご飯にしようね 』
練餌に粟や細切れミルワーム混ぜ合わす。
そしてちょっぴりのハチミツのトッピング。
ヒナはハチミツが大好き。
彩花特製・栄養満点スペシャルご飯。
食欲旺盛!
勢いよく食べてくれる。
『 ..ヒナ、お外に散歩に行こうか 』
今朝、バイトに行く時、気になる雀を見つけた。
ヒナを拾った近くの電線で「チュン チュン」鳴いているのだ。
もしかしたらヒナのお母さんかもしれない。
だから、ヒナを連れて近くをお散歩してみることにした。
ヒナが元気になった時、必要なのは私じゃない。
もしもヒナの声にお母さんが気付けば、自然へと戻した時、無事に再会できるかもしれない。
私では飛び方、餌の捕まえ方、砂遊びの仕方とか教えてあげる事できないから。
それこそお弁当売りのようにヒナが入ったクーラーボックスを首にぶら下げて散歩をした。
時折、顔を上げて私の事を確認するヒナ。
ヒナを拾った近辺を歩いていると、雀の声が聞こえた。
『ほら、ヒナも鳴いてごらん 』
小指をくちばしに近づけると「ピッ ピピ」と鳴く。
10分ほどの散歩を終え部屋に戻る。
『お母さんが気付いてくれたらいいね、ヒナ 』
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