第7話 壁をたたく音

『彩花ちゃん、今日、少し残業頼めるかな?』

『無理です! 用事がありますので!!』


店長の頼みに間髪入れず断ると自転車をすっ飛ばして部屋に帰る。


・・

・・・・・・


『私特製ステーキ&焼肉弁当サラダ付きとプリン&杏仁豆腐』

約束以上の報酬に上機嫌で家に帰る姉。



『ヒナ、来てごらん』

様子を見ようとヒナに手を伸ばしてみる。


『嫌っ』とペーパーの奥にゴソゴソ逃げるヒナ。


『 ....』



私はイラストの仕事にとりかかる。



コツコツ  コツコツ  コツコツ



時々、ハウスの壁をたたくヒナ。


『ヒナ、何やってるの?』


観察すると、ヒナはくちばしをハウスの壁にこすりつけていた。

どうやらくちばしについたエサの汚れが気になるようだった。


なるほど.. 人間の歯磨きみたいなものだね。


『おいで.. 』


乾いた練り餌は爪先でもとれない。

磨いてあげようと濡れた綿棒をくちばしに近づける.... バクッ!


『こらこら、餌じゃないよ!』

「ピピッ」


そのままヒナのお食事タイムに突入。


食事が終わると再びペーパーや壁でくちばし磨きを始めるヒナ。


『ふふ.. ヒナは女の子かな? 綺麗好きだねぇ 』

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