ディア・ヴァンパイア//アサルト
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──ディア・ヴァンパイア//アサルト
ベリアたちが
『感染症ラボから
『
危険なウィルスの漏洩を知らせるアラームがアトランティス・バイオメディカル・コンプレックス内で鳴り響く。
空調が止まり、研究施設の防護装備を身に着けた保安要員によって研究施設内の通行が制限される。
『
このアトランティス・バイオメディカル・コンプレックスの危機管理室の対応に研究施設内に展開していたALESSとハンター・インターナショナルのコントラクターたちも従うことになる。
『東雲。準備完了。無人警備システムは焼き切った。ALESSとハンター・インターナショナルのコントラクターは大慌てで逃げてる。彼ら生化学戦の訓練は受けてなかったみたいだね』
「ばっちりだ、ベリア。これから突っ込む。派手にかますぜ」
『無事に帰ってきてね。待ってるよ』
東雲が宣言するのにベリアが手を振った。
「ベリアたちが
「オーケー。やろう」
東雲がバンを降りながら言うのに八重野が続いた。
「暁。あんたは先にヘレナを奪還してきてくれ。俺たちはルナ・ラーウィルを護衛している連中と大暴れしてくる」
「了解、ボス。位置はそっちのハッカーから送られてきてる。ばっちりだ」
「抜かるなよ」
暁が頷き、東雲がアトランティス・バイオメディカル・コンプレックスの正面ゲートに向けて進んでいく。
「おい。止まれ! ここは関係者以外立ち入り禁止だ」
「関係者だぜ? 襲撃者っていうけどな!」
ALESSのコントラクターが呼び止めると東雲が“月光”を展開して投射した。
「クソ! こちら正面ゲート! 襲撃──」
高速回転する“月光”によって正面ゲートを固めていた全てのALESSのコントラクターが始末されてしまった。
「時間との勝負だ! 俺たちはルナ・ラーウィルを押さえるぞ!」
「ああ!」
東雲たちがアトランティス・バイオメディカル・コンプレックスの中に突入する。
「何をしている! IDを提示しろ!」
エントランスで即座にALESSの
「野蛮な侵入者でございます。押し通る!」
東雲が“月光”を高速回転させてALESSのコントラクターたちに突っ込む。
「サイバーサムライだ! 畜生!」
「
ALESSのコントラクターたちがエントランスの椅子や机に隠れながら射撃を実行する。
「行こうぜ、野郎ども!」
「だから、あたしは野郎じゃないって言ってるだろ!」
東雲が突っ込み、セイレムが続く。
超電磁抜刀によりALESSのコントラクターが
「行け行け! 突っ込め! 俺が敵を引き付ける!」
「任せたぞ、東雲!」
東雲がALESSの警備部隊の中で大暴れし、呉たちが超電磁抜刀で敵を仕留める。
『オライオン・ゼロ・ワンより
『
ベリアがジャックしているALESSの無線通信が流れてくる。
「連中、ウィルスを気にせずに戦うつもりらしい」
「お互い難儀な
「全くで」
八重野が珍しく軽口を叩くのに東雲が同意した。
東雲たちは速やかにエントランスを制圧。ALESSとハンター・インターナショナルの部隊は一時的に退けられた。
「よし。ヘレナはB棟の研究室にいる。警備はいるが、あんたならどうにかできるだろう、暁。無事、ヘレナを確保して連れてきてくれ」
「分かった。後でそっちに合流する」
暁がエントランスで道が分かれているB棟に向けて電磁ライフルを構えながら進んでいく。この先にヘレナがいるのはベリアが確認済みだ。
「俺たちはルナ・ラーウィルを押さえる。殺すなよ。八重野の呪いの問題がある。殺すのは暁がヘレナを連れてきてからだ」
「分かってる。殺すのは護衛だけ」
「行くぞ」
東雲たちはルナ・ラーウィルがいるA棟の会議室に向けて進む。
『東雲。不味いニュースがあるよ。暁は?』
「あいつはヘレナを助けにいった。俺たちはルナ・ラーウィルを確保しに向かう」
『余計不味い。あのサイバーサムライたちがいる。ベイエリア・アーコロジーを襲撃して、暁がTMCにヘレナを連れて来た時に襲撃してきた連中』
「インペラトルか」
『監視カメラで確認できるのは3名。以前の交戦した情報からするとひとりはニンジャで、熱光学迷彩で隠れてる』
「らしいな。そのクソニンジャは戦闘用アンドロイドも使うぞ」
『アトランティス・バイオメディカル・コンプレックスの監視システムじゃ熱光学迷彩を使っている人間は探知できない。戦闘用アンドロイドも。全く、面倒だな。そっちで何か手はある?』
「セイレムが以前戦った時に音響センサーから位置を割り出して戦った」
『了解。それなら大丈夫だね。ALESSとハンター・インターナショナルの警護部隊については引き続き監視しておく。ルナ・ラーウィルの位置もね』
そこでベリアが何かを告げられた。
『ねえ、東雲。ロスヴィータが私たちを攻撃してきたハッカーの通信元がそこだって。そこの研究室のひとつからマトリクスにアクセスしてた』
「はあ? ここにいるのか? ハッカーが?」
『そう。また邪魔されるかもしれない。よかったらついでに始末しておいて』
「あいよ」
東雲はベリアからロスヴィータが特定した通信元に向けて進む。奇遇にもハッカーであるネロもA棟にある研究室にいるようだった。
「アックス・ゼロ・ワンより
『
「了解。交戦を開始する」
アーマードスーツを装備したハンター・インターナショナルの警備部隊が、電磁ライフルで東雲たちを攻撃してきた。
「邪魔するなよ、ブリキ缶ども!」
東雲が先頭に立ち電磁ライフルの銃弾を辛うじて弾きながらハンター・インターナショナルの警備部隊の即席バリケードに突っ込む。
「他の部隊の情報通りサイバーサムライだ! ひとりずつ確実に殺せ! 全ての兵装の使用を許可する!」
「了解!」
アーマードスーツが口径70ミリサーモバリック弾頭のロケット弾から口径40ミリ空中炸裂型グレネード弾、口径30ミリ電磁ライフルまであらゆる火力を叩き込んでくる。
「バカスカ撃ちやがって。ふざけんなよっ!」
東雲が敵が叩き込む火力をひとりで押さえながら、即席バリケードを越えた。
「なっ! こいつ化け物──」
「死ね」
東雲が“月光”を投射してアーマードスーツを串刺しにする。電磁装甲が作動して“月光”を電磁力によって弾こうとするが、“月光”はそれを無視してアーマードスーツの装甲を貫き、中のコントラクターを殺害した。
「東雲に続け!」
「楽しくなってきたな!」
八重野とセイレムがバリケードを超えると同時に超電磁抜刀でアーマードスーツを斬り倒していく。
「前座にしては豪勢なこった」
呉もアーマードスーツを撃破する。
「抜けた! このまま突き抜けるぞ!」
「後ろは任せとけ」
「頼むぞ」
呉が混乱に陥った残敵を掃討し、東雲たちは研究施設の廊下を駆け抜ける。
「この先の研究室にハッカーがいる。首を刎ねちまおうぜ。ベリアたちが動きやすくなる。マトリクスからの支援がなければ俺たちは袋の鼠だし」
東雲がそう言って研究室に飛び込んだ。
「……おい。誰もいないぞ」
研究室はサイバーデッキなどの電子機器が置かれているが、研究者やハッカーは存在しなかった。少なくとも人間はいなかった。
「ロスヴィータ。本当にこの研究室にハッカーがいるのか? 誰もいないぞ」
『そんなことない。今もマトリクスでやり取りしてる。その場所から。しっかり確認してみてよ、東雲』
「分かった、分かった」
ロスヴィータに言われて東雲が研究室の設備を調べていく。
「げっ。まさか。マジかよ」
「どうした、東雲?」
「脳みそがある」
東雲の目線の先には大量の電子戦用のインプラントを植え込んだ剥き出しの脳みそが、栄養液の中に漂い、ケーブルが脳からサイバーデッキに伸びていた。
「あー。ロスヴィータ。見つけたかもしれない。よく分からんが」
『じゃあ、殺して』
「はあ。あいよ」
東雲はあまり気乗りしないものの、剥き出しの脳みそに向けて“月光”を振るった。
脳が切断され、栄養液の中から外に叩きだされる。
『オーケー。ハッカーの通信が途絶えた。グッドジョブ、東雲』
「なんだかなあ。全身機械だったり、脳みそだけだったり、いろいろと終わってるぜ」
東雲はそうぼやくと研究室を出て、前進を再開した。
『パンサー・ゼロ・ワンより
『
無人警備システムはベリアが焼き切っている。ハードを交換しなければならない状況なのでそう簡単には復旧しないはずだ。
「よーし、よしよし。無人警備システムは黙ってる。順調だ。ハンター・インターナショナルとALESSの連中を蹴散らしてルナ・ラーウィルを確保だ」
東雲は封じ込めプロトコルのために展開している保安職員とハンター・インターナショナルの警備部隊を蹴散らして、アトランティス・バイオメディカル・コンプレックスの廊下を駆け抜けていく。
「パンサー・ゼロ・ワンより
「突っ込め! ぶった切れ! 叩きのめせ! やっちまうぞ!」
ハンター・インターナショナルの警備部隊が射線に入った東雲たちに向けて一斉に発砲し、東雲が“月光”を高速回転させ、身体能力強化で高機械化率の
「畜生! 畜生! 止まりやがれ、このっ!」
「おらっ! くたばれ!」
ハンター・インターナショナルの警備部隊は必死に射撃を繰り返したが、東雲は即席バリケードを突破してハンター・インターナショナルのコントラクターたちに斬りかかった。血が舞う。
「押し進む」
「テンポ上げていこう」
そして、八重野たちが東雲に続いて即席バリケードを越えて、ハンター・インターナショナルのコントラクターたちを八つ裂きにする。
「後ちょっとでルナ・ラーウィルのいる会議室につくが」
「そう簡単には通してもらえなさそうだ」
東雲が前方を見るのに呉がそう言う。
「よう。また会ったな」
東雲の視線の先には非合法傭兵集団インペラトルがいた。
……………………
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