バトル・オブ・ブリテン//混戦
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──バトル・オブ・ブリテン//混戦
東雲たちに迫るALESSの
「おらおらおらっ! ミンチにしてやるぜ、ジャクソン・“ヘル”・ウォーカー!」
東雲が“月光”を高速回転させてジャクソン・“ヘル”・ウォーカーに迫る。
「くたばれ、ドブネズミが」
東雲に向けてジャクソン・“ヘル”・ウォーカーが口径35ミリの電磁ライフルを次々に叩き込んでいく。
電気の弾ける音が響き、極超音速で大口径弾が叩き込まれる。
「クソッ! どういう威力してんだよ、この銃弾! 何を殺す目的で作った!」
「お前のようなサイバーサムライを確実に殺すためだ」
東雲が思わず押されるのにジャクソン・“ヘル”・ウォーカーが笑いながら八本の腕のうち四本の腕で構えた電磁ライフルで銃撃する。
「東雲! 下がれ!」
「あいよ!」
東雲が後退したと同時に暁が電磁ライフルでジャクソン・“ヘル”・ウォーカーを銃撃する。口径30ミリの大口径弾がジャクソン・“ヘル”・ウォーカーに向かう。
「ふん。甘いな。その程度のもので」
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーは自分に向けて飛んできた電磁ライフル弾を自身の電磁ライフルで叩き落とした。
「マジかよ。どうかしてるぞ」
「ははっ! 本気を出せ、ドブネズミども。どうせ死ぬがな」
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーが大暴れするのに東雲が必死に“月光”を高速回転させて銃弾を防ぎつつ、ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーを相手にする。
「おい! 全員! 役割分担といこうぜ! 俺と暁でジャクソン・“ヘル”・ウォーカーをぶち殺す! 他の連中は緊急即応部隊の相手だ!」
「了解! 生き残るぞ!」
東雲が叫ぶのに全員が応じる。
「暁! 電磁ライフルで牽制しろ! その隙に俺が斬り込む!」
「了解、ボス! やってやろうぜ!」
東雲の命令に暁が答え、暁が電磁ライフルをジャクソン・“ヘル”・ウォーカーに向けて乱射する。
「馬鹿が。数撃てば当たるという考えは古いぞ」
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーは機械化した人間らしい精密さで放たれた銃弾を叩き落としていく。
同時に暁を銃撃する。
「クソ。こいつ、本物の化け物だぞ」
「知ってるよ! だが、一度死んでる! もう一回死んでもらうだけだ!」
暁が呻き、東雲が緊急用造血剤を口に放り込んだ。
「“月光”!」
東雲がその名を呼ぶと成人した“月光”の少女が“月光”の刃を手に姿を見せた。
「主様! やるのじゃな!」
「ああ! 死人を墓場に送り返してやるぞ!」
「やってやろう!」
東雲がジャクソン・“ヘル”・ウォーカーに向けて突撃し、“月光”の少女がそれに続いて突撃する。
「そのサイバネティック兵器の正体を暴いてやるよ、サイバーサムライ」
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーはそう言って残酷な笑みを浮かべると、東雲と“月光”の少女に向けて電磁ライフルの銃弾を叩き込む。
「おおおおっ!? 勘弁してくれよ! この野郎! “月光”! 挟み撃ちだ!」
激しい金属音を立てて銃弾が“月光”に弾かれるのに東雲が悲鳴染みた声を上げる。一発でお銃弾が命中すればミンチだ。
「分かった、主様! 挟み撃ちじゃな!」
“月光”の少女がジャクソン・“ヘル”・ウォーカーの脇を抜け、背後に向けて回り込もうとする。
「その
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーは東雲と“月光”の両方に電磁ライフルの銃口を向けると攻撃を実行した。
「バカスカ撃ちやがって! 暁、牽制しろ!」
「任せろ!」
暁がジャクソン・“ヘル”・ウォーカーに向けて発砲する。
「やってくれるな。だが、その程度の攻撃で」
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーは平然と暁の放つ銃弾を銃弾で叩き落としていく。機械染みた正確さで。
「3対1だぜ、クソ野郎!」
「よそ見してはおられぬぞ!」
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーが銃撃するのに東雲と“月光”の少女がジャクソン・“ヘル”・ウォーカーを挟撃する。
「やれると思ったか、サイバーサムライ? お前は遅すぎる」
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーは高速移動して東雲と“月光”の少女の挟撃を巧みに回避してしまう。
「やるな。だが、俺もまだ加速できる」
東雲と“月光”の少女がスピードアップする。
『グラディエーター・ゼロ・ワンより
『
『了解!』
外から響くローター音とともに電磁機関砲が叩き込まれる音が響いた。
「畜生。無人攻撃ヘリが撃って来やがった。このままだとジリ貧だぞ」
「俺が無人攻撃ヘリを撃墜する! これ以上時間がかかったら、ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーに殺されなくても他の連中に殺される!」
「任せた、暁!」
暁は無人攻撃ヘリの撃墜に向かい、東雲と“月光”の少女は引き続きジャクソン・“ヘル”・ウォーカーを攻撃する。
「ミンチになれよ、イエロー。そこのヒューマノイドインターフェイスと一緒にな」
「誰がなるか、ブリキ缶が」
東雲とジャクソン・“ヘル”・ウォーカーが激突する。
東雲はジャクソン・“ヘル”・ウォーカーに向けて“月光”を投射し、ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーは“月光”に向けて電磁ライフルから大口径弾を叩き込んで軌道を逸らし、さらに東雲を狙う。
「デカい図体でゴキブリみたいに動きやがって。気持ち悪いんだよっ!」
東雲が“月光”でジャクソン・“ヘル”・ウォーカーを狙うが、ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーは電磁ライフルと機械化ボディでそれを回避する。
「主様! こっちから仕掛けるぞ!」
「やっちまえ、“月光”!」
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーが東雲の攻撃を退け続ける中、“月光”の少女が攻撃に転じた。
「ヒューマノイドインターフェイス風情が。黙ってろ」
「なんじゃ! そのひゅーまんなんたらといのは! 我は魔剣“月光”の化身! 主様の一番の相棒じゃ!」
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーが高度軍用グレードを超えた試作型の脳機能デバイスで東雲の攻撃と“月光”の少女による攻撃を電磁ライフルで退ける。
「今だ! くたばれ、クソ野郎!」
「主様、今じゃ!」
だが、東雲と“月光”の少女は確実にジャクソン・“ヘル”・ウォーカーを捉えており、斬撃がついにその体に達した。
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーの電磁ライフルを握った腕が切断される。
「やってくれる」
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーは残り二本になった電磁ライフルを握る腕で東雲たちを狙うと同時に斬り飛ばされた腕から電磁ライフルを回収した。
「スライスしてやるよ、伝説男」
「やってみろ、サイバーサムライ。お前がミンチになる方が先だ」
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーが叩き込んだ大口径弾が東雲の腹部を貫き、ミンチに変えた。だが、東雲は身体能力強化で強引に乗り切る。
「クソ。化け物め」
「言ってろ。お前も同じくらの化け物だよ」
東雲の激しい“月光”による攻撃をジャクソン・“ヘル”・ウォーカーが対抗する。だが、確実にジャクソン・“ヘル”・ウォーカーは押されている。
「東雲! 無人攻撃ヘリを叩き落としたが、お替わりが来る!」
「だろうな! そっちは引き続き無人攻撃ヘリを抑えてくれ! こっちはこっちでどうにかするよ!」
「すまん! 任せた!」
暁が電磁機関砲を叩き込んでくるハンター・インターナショナルの無人攻撃ヘリを相手に必死に電磁ライフルで攻撃を繰り返す。
「味方がくたばってるぞ、
「無能が死んでいるだけだ。俺は生き残り、お前たちは死ぬ」
「そうかな?」
東雲が一斉に“月光”を攻撃に回す。
防御を捨てて、総攻撃だ。
「この野郎」
ジャクソン・“ヘル”・ウォーカーが“月光”を退けようとするも、“月光”がジャクソン・“ヘル”・ウォーカーの東雲に向けていた電磁ライフルを握った腕を叩き切り、切り落とした。
「終わりだ。くたばれ、くるみ割り人形」
「主様! トドメじゃ!」
「おう!」
東雲と“月光”の少女が同時にジャクソン・“ヘル”・ウォーカーの胸を貫いた。
「ははっ! 死は怖くないぞ。俺は死なない。死なないんだよ。何度でも蘇る。アトランティスが俺を蘇らせる。何度でも、何度でも、何度でも!」
「そうかい。じゃあ、アトランティスがコンテニューのコインを入れてくれるまで墓場で腐ってろ」
東雲がそう言って退避するとジャクソン・“ヘル”・ウォーカーの
「ああ。伝説は2回死ぬってか。毎回派手にくたばりやがる」
「主様! 油断するな! まだ敵が残っておる!」
「あいよ!」
“月光”の少女が告げると東雲が残りのALESSの緊急即応部隊を相手しに向かった。
『グラディエーター・ゼロ・ワンより
『
『了解!』
ALESSの緊急即応部隊が撤退を試みる。
「連中、逃げるぞ」
「追撃するか?」
「放っておけ。あいつらが撤退するのに輸送機を使えば他の部隊が送られるのを遅らせられる。軍隊ってのは撤退するときに負担が大きくなるんだ」
「そういうものか。じゃあ、逃げようぜ」
ALESSの緊急即応部隊と戦っていた呉がそう言い、東雲が非常階段を駆けおりる。
『ハイランダー・ゼロ・ワンより
『
『了解』
ALESSの無線が傍受される。
「エントランスで待ち伏せされている」
「クソ。ロンドンを抜けるどころかカナリー・ワーフを抜けるられるのかどうかすら怪しくなって来やがったぜ」
「どうにかするしかない」
東雲がぼやき、八重野が言いきる。
「まもなくエントランス」
「敵は装甲戦力まで投入してる。ハンター・インターナショナルの軍用装甲車と無人戦車だ。クソッタレ」
暁が報告するのにALESSの構造物をハックしているセイレムが悪態を吐いた。
「何としてでも生きてここから出るぞ。こんなところで死んでたまるかってんだ。俺は王蘭玲先生にまだプロポーズもしてないんだからな!」
東雲がそう言ってエントランスに続く扉を蹴り破った。
「ハイランダー・ゼロ・ワンより全部隊! 目標捕捉、目標捕捉! 射撃自由!」
アトランティス・バイオテック本社のエントランスに向けて配置されていた軍用四輪駆動車と無人戦車、アーマードスーツが一斉に射撃を開始する。
口径120ミリの戦車砲、口径12.7ミリのガトリングガン、口径20ミリの電磁ライフル。あらゆるものが東雲たちを狙って叩き込まれる。
「クソ、クソ、クソ! 畜生め! 殺す気か!」
「殺す気に決まってるだろ!」
東雲が銃弾を弾くのに暁が電磁ライフルによる射撃で戦車砲から放たれた
「突っ込むぞ! 肉薄して撃破する!」
「ああ!」
東雲が“月光”を高速回転させて、エントランスに砲口を向ける無人戦車に向けて突っ込んでいった。
『ハイランダー・ゼロ・フォーよりハイランダー・ゼロ・ワン。敵の脅威増大。近接防御兵器の使用準備に入る。周辺の部隊は警戒せよ』
「おらあっ!」
『近接防御兵器使用!』
東雲がハンター・インターナショナルの無人戦車に襲い掛かるのに、無人戦車が近接防御兵器として空中炸裂グレネード弾を射出した。
「くたばれ!」
東雲が無人戦車の砲塔を切断すると同時に炸裂したグレネード弾からの攻撃を受ける。無数のボールベアリングが東雲の体を抉っていく。
「一両撃破!」
「滅茶苦茶しやがるぜ」
東雲が破壊された戦車から身体能力強化で傷を回復させながら叫ぶのに、呉がにやりと笑ってそう言った。
「東雲に続け! 突破するぞ!」
「楽しくなってきたな!」
八重野が突撃し、セイレムが続いた。
『ハイランダー・ゼロ・ワンより全部隊! 絶対に突破させるな!』
激突。
……………………
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