第二十一話 証拠不十分
「じゃあ、私は失礼するぞ」
そう言い残し、会長はその美しい黒髪を振り乱しながら何処かへ去ってしまった。
残されたのは、箒を持ってぽつんと突っ立ている少年。
その顔には、疑問や悔しさが入り混じった表情が浮かんでいる。
「くそっ、絶対聞こえたのに……魔法みたいに消えちまった」
あり得ないことである。
本来なら机をドンッッ! としたいところだ。
しかし、彼は魔法を扱える訳では無い。
諦めて、帰路に着くことしか出来なかった…。
♢♢♢♢♢♢
花風の後に散らばる桜を、踏み避けながら学校まで急ぐ。
「きゃー、遅刻遅刻ー」
尤も、急ぐと言っても半分冗談みたいなものだが。
(……ん!)
T字路を右に曲がり、直線上に学園が見えた時、同時に新島の姿も視認することができた。
(昨日の今日で来れたのか、凄い)
昨日の事件があったにも関わらず、静香は登校していた。
かなり前にいるために、表情は分からない。
しかし、新島観察歴1年の大ベテラン(?)からすると、どんな顔をしているかなど楽勝なものであった。
しっかり切り替えてきたのだな、と。
(そろそろ着くな)
学校に入る前に、彼女の姿を見れて良かったと思う圭太だった。
♢♢♢♢♢♢♢
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