第十九話 箒は戦闘力5の専用武器です

(あれを使えば……!)


目に入ったのは、掃除道具入れ。

そう、あの中には、強力な武器が所狭しと入っているのだ。


しかし、問題もある。

圭太と道具入れの距離は3メートルほどなのだが、


奴らーー否、その中の叫んでいる方の奴は、今最高潮に凶暴になっている。

そいつに姿を見られれば、まず襲われる事だろう。


よって、少年はある作戦を考えた。

直様鞄を床に下ろし、ファスナーを開けると、一冊の本を取り出した。。



(古い手だが、しょうがない!)


小声でくらえ、と呟くと、圭太は本の中から取り出した、


バラララッッ!!


投げられたそれは、奴の近くに落ちた瞬間、嵐の様に暴れ始めた。

巻いたゴムが、元に戻ろうとしているのだ。


「・・・・・・?!」


叫びが一瞬止んだ。

どうやら効いたらしい。


(よし、今だっ)


たった3メートル、されど3メートルを必死に駆ける。

そして、武器を道具入れから取り出し、


「何してんだ!」


虎と対峙する加藤清正の様に、奴に突き付けた。



……しかし。


「なんだ、どうしたんだ? 君」


やつは、

実に信じられない事だ。

先程まで激情を剥き出しにして拳を振るっていた奴が、声一つで瞬時に冷静になるなど。


そして、何より信じられないのが。


「な…あ…神門さん…!」



「奴」とは、 

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