第9話 一難さって、また

 奥が明るい!トンネルの先。崖の上、出口らしい扉はあるものの……笑顔が一瞬に凍りつく。


 ——ここを進むの!!


 目の前には大きな谷が横一線に広がっていました。下にはドロドロとしたマグマが流れて、火花がパチパチと弾けていました。


 洞窟内は溶岩の熱風と、まばゆいほどの光。岩には溶岩の光を反射して輝く鉱石が生え、青や赤、緑と様々な色を石壁に反映させる。幻想的な空間です。


「不思議な場所……って、そんなこと言ってる場合じゃないよ」


 私はポケットから木材のブロックを取り出して橋を作ろうと試みますが、マグマは火花が飛び燃えてしまいます。


「木じゃダメかぁ〜。よし、じゃあ石をつかおう」


 ポケットからツルハシを出して石を採掘。クラフト台で砕けた石をブロック状に加工して橋を作ろうとしました。しかし、ブロックは張り付く事なく谷底へと落ちていく。トプンと溶けていきました。


「えっ?なんで」


 ゲームだったらカンタンにブロック同士が、くっついてくれるのに!?


 戸惑い。思っていた考えが上手くいかない。あぁ、あ。魔法使いみたいに飛べればいいのになぁ〜。風を操ったりなんか……すれば!?


 そうか!この世界は、私が知ってるゲームじゃないんだ。真四角のアイテムとクラフト台。でも、違うところもある。


 その一つが魔法だった。魔法には種類がある。カナちゃんが作った宝石を使った不思議な杖。もとのゲームの設定では、魔法の杖は炎しか出せないハズなのに……。


 あの時、カナちゃんが杖をクラフトした時に使った緑の鉱石を探そう!

 マグマの光を反射する。鉱石の色は見る角度によって様々。色とりどりの発光。採掘してはじめて鉱石の種類がわかる。


「赤……ちがう。今度は、青……違う」


 ツルハシが耐久値を壊れる。ポケットからクラフト台を出す。木材に石材をまぜて作るツルハシ。ちょっぴり重いけど、こっちの方が早く採掘できる。


 私は地道に石壁を削りました。


「やった。緑の宝石!見つけた!」


 ヨシッ!あとはアレを作れば


 クラフト台に木材


「あの時、枝も何本か拾っといてよかった」


 クラフト台の上。木材を粘土のようにこねて形作っていく。細く伸ばしその先に枝を纏めて束にしてくっつける。


「ヨシッ!できた。ホウキ。あとはこの鉱石を使って」


 ほうきの先端に、さっき採掘した緑の鉱石。エメラルドかな?宝石を飾る。クラフト台から取り出すと、私の背丈ほどのホウキができあがりました。


 ホウキに跨る。私の考えが正しいなら……緑色の風が頬をなでる。風が集まる。ふわりと優雅にスカートがはためく。


「うん、イケる!……飛べ!!!」



 箒から風があふれだすかのように風が吹きだし、私は地面を蹴り上げる。


 勢いよく飛び立つ。ほうきにまたがり、私はマグマだまりの谷を飛び越え、さらに崖を一気に飛び上がった。


ーーこの扉の先が出口?


 私は重厚な鉄の扉の前に立ち、ドアノブを回しました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る