第26話 なつかしき……
一瞬できた道も、すぐに黒いモヤが覆い尽くしてしまいます。
「クソッ!飲み込まれる」
「ダメだ。コウモリの数が多いよ」
もうダメだ……そう思った時!目の前、数十個の光の粒が地面に降り注ぎました。
「良かった。どうやら間に合いましたね」
「あなたは?」「アンタはキサラギ!」
カナちゃんと声が重なる。ふわりと現れる白衣の男性。どうやら、カナちゃん……みんなの知り合い?
「初めまして、いつも所長には、お世話になっています。如月です。他の、、君達は久しぶりですね。良く生き残ってココまで……」
如月さんの話の途中。降り注いだ光の中からは、見覚えのある人たちが現れました。
「先生?それに、みんな??」
「……おゥ。小峰さん…か。無事デ、よカッタ」
カクカクとした姿に違和感を感じます。
ゲームのキャラクターみたいですが、先生の顔の形や、みきちゃんの泣きボクロ。ケンタくんのウネウネした髪型。特徴で、なんとなくですが、クラスメイトだと気付きました。
「あれはミキちゃん?これは、ケンタ君だ!」
みんなはコクコクと頷いたり、手を振ったりはするも返答はありません。先生の言葉はカタコトですが、なんとか聞き取れました。
「この世界をネットワークで繋ぎました。皆さんには、ゲームのプレイヤーとして手伝っていただきます」
「ソウだ……。ねっとワーク、が、ふ安定ダガ……一緒に、た、たかぇる」
「みんなも、一緒に!これは心強いですね」
「みんなが助けたいって言ってくれまして。世界に送るのは危険だけど、せめてゲーム世界ならと、この世界とゲーム世界をリンクさせたんですよ」
如月さんの説明で、なんとなく今の現状を把握できました。
「全然、意味わかんねーケド。仲間が増えたって言葉だよな」
シュンスケ君の声に、みんなは笑顔で答えました。ラストドラゴンを目の前にして、これほど、心強いサプライズはありません。
「如月君、間に合ったみたいだね」
ラストルに乗って現れた黒マントの男。如月さんに擦り寄る空色の獣は、とても懐いていました。
「間に合ったみたい……じゃ、ありませんよ。こちとら三徹ですよ。ふぁ〜、この一件が片付いたら長期休暇を申請しますからね」
如月さんがあくびを一つ、優しげにラストルのツノを撫でました。すると、空色の獣の折れたツノはポロリと落ち、そこから新しい立地なツノが生えてきました。
男性二人は何か話し合った後、私達に振り返ります。
「助っ人はゲームのキャラクター。何度やらせてもやり直せる。でも、君達は違う。だから、無理は……」
「頑張って、新しく生まれてしまったラストドラゴンを、倒して下さい!私達に代わって、お願いします!
「わかったわ」
カナちゃんが私達を代表して返事をし、如月さんと握手を交わしました。
「最初から、そのつもりよ」
「ありがとう。では、私達は持ち場に戻ります。ラストドラゴンだけでも厄介なのに、コウモリ男まで現れてしまっては……」
そう言って踵を返す如月さんを、私は引き止めました。
「如月さん。地下世界のフレイル……フレイルさんが、あなたに会いたがっていました。すごく良い人です。あの人のツノも直してあげて下さい」
「そうですか。フレイルも倒されましたか……鍛え上げた身としては複雑ですが、、、教えてくれて、ありがとうございます。この戦いが終わったら、久しぶりに会いに行こうと思います」
そう言うと、二人は颯爽とコウモリの渦の中へと消えていきました。
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