第19話 炎の要塞

 溶岩の流れを進んでいくと、マグマの湖に浮かぶ城が見えました。燃えるような赤いレンガの橋を渡り城門の前まで来ました。


『よくぞ、我が城へ』


 響く重い声。鎖のこすれる音がすると強固な城門がゆっくりと持ち上がりました。


 奥へ進む。建物の中というより、大きな空間と赤いレンガの壁が高く連なる。

 空間の中央。赤の台座には黄金の装飾。その椅子に座る大きな鬼が立ち上がる。


 前に戦ったオークくらい大きい。燃えるような赤い皮膚に、頭には捩じれるようにはえる立派なツノ。


「あれが、目的の角ですね」


「どうやら、君たちはこの角に興味があるようだ。いいだろう。相手になろう。武器を取れ」


 鬼のようなにゴツゴツとした顔。フレイルは長い槍を構えます。

 それと同時に、フレイルの角から生み出される鬼火。火の玉がふわふわと浮かぶ。刹那、勢いよく飛んでくる無数の火の玉。


「来ますよ。フレイルの火焔攻撃」

「アクアスプラッシュ」


 私は水魔法水で撃ち落とします。じゅわっという音と共に蒸発する火の玉。


「ユリさん。鬼火は任せます。僕は前に出ます」

「りょう、かい!」


 槍を構えて走り出すタクマ君。火の玉は消えても、フレイルは角から鬼火を作り出す。ふわふわと浮かぶ火の玉を水魔法で撃ち落として援護するが数が多い。


 フレイルの強さは消えては現れる鬼火と、フレイルが手に持っている槍。その長い槍は、タクマ君の持つ普通の槍の二倍はある。それが伸び縮みをし、先端は相手を追尾するように相手めがけて走る。


 ーーまるで生きているみたいだ。


 タクマ君はクネクネと動く槍先を武器で弾く。無数の火の玉をかわす。


「今です!ユリさん」


 この2週間で新しく作り上げた魔法の杖の一つを取り出す。細長い白樺の杖。先には青の宝玉。その回りを土星の輪のようにくるくるとまわり浮かぶ、緑色のリングが光り輝く。


「アクアトルネード」


 私の水魔法。巨大な水流の渦がフレイルを襲う。タクマ君が隙を作り、強力な魔法を放つ。2人で考えた作戦。


しかし……


 フレイルはさらに火の玉を生み出すと、無数の小さな火の玉は集まり、大きな炎の障壁を作りだしました。


 ぶつかり合う水と炎。あたり一面に広がる水蒸気。私の作り出した水流はかき消され、霧の向こう。フレイルが不敵に笑みを浮かべていました。


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