第17話 New World

 今日で2週間。私は知らないけど、謎の男から言われた日。私たちは生き残る事ができたけど……。


「元の世界に戻れないじゃない」


 カナちゃんは苛立たしげに声をあらげると、「ヨシッ!」と気合いを入れる。それを見て、私たちも頷きます。

 みんな、心の中では、何となくわかってたんだと思います。


ーーラストドラゴンを倒さないと元の世界には戻れない


「そうと決まれば!」


 タクマ君が立ち上がりました。木の棒で丸や矢印を書きながら、みんなに説明します。


「ここがゲームの世界を反映しているなら、おそらくは、3つの世界に分かれているハズです。今いるのは草原や海、山などをモチーフにした世界。他にも地下世界があると考えられます」


「タクマ。あと一つは何だよ?」

「ウチは分かるわよ。残る一つは、ラストドラゴンのいる世界ね」

「そのとおりです。ファンタジー世界と言われる世界ですね」


 私たちのログハウス。その近くで焚き火がパチパチと燃えています。シュンスケ君は、昨日つった魚を木の棒を刺して焼いていました。


「地下とか、ファンタジーとか、俺はよくわかんねぇーぞ。だいたい、草原だってこんなに広いのに、ホントにそんな世界があるのかよ」


「僕も最初は疑問だったんですが、ユリさんと話をしていて確信しました。少なからず地下世界は存在するハズです」


 シュンスケ君が焼けた魚を配ってくれます。


「さっき話してたマグマの谷のこと」

「そうです。ユリさんが何者かにとらわれ脱出する際にホウキで飛び越えた谷です」


 私は立ち上がり、みんなに説明します。


「カナちゃん。地下世界には赤の洞窟と青の洞窟があってね。地下のマグマと水流がぶつかるところから探していくの」


「?????」


「マグマと地下水がぶつかるところを起点に、地下を流れるマグマの流れが行き着く先に、赤の洞窟があります。そして、その場所から流れる水の行き着く先には、青の洞窟があります」


 私とタクマ君はゲーム経験者。でも、カナちゃんやシュンスケ君は、あまりゲームをやりません。でも、なんとか二人も理解して、目的がはっきりとしてきました。


「じゃあ。まず地下のマグマと水が交じり合っているところを見つけて、そっから二つの洞窟を探すってこと?」


「そうです。そして、あの谷底にはマグマがあり、水流もありました。たぶん、あの谷底の近くに起点となる場所があるハズです」


 シュンスケ君も大きくうなずきました。


「そこで、です。二手に分かれたいと思います。謎の男の言っていた『時間がない』というのも気になりますし、赤の洞窟は溶岩だまりを進みます。もし落ちてしまったら即アウト。魔法のホウキに乗れない二人は危険が伴います」


「まぁ。タクマも高所恐怖症だけどな」

「それは現状、関係ありません!」


 語気を荒げながらも、タクマ君は説明を続けました。


「それに、青の洞窟は狭い洞窟内を進みます。険しい崖や水の中を進むかもしれません。ここは運動神経の良い二人のほうが有利です。それに、狭い洞窟内では僕の槍や弓矢は不利ですし、ユリさんの強力な魔法は洞窟事態を壊して崩落の危険があります」


「うげっ。崩落はマズいな。確かに。それに、タクマカナヅチだもんな」

「えっ?タクマ君、泳げないの」


「だから、なんでシュンスケは関係ないことを……こほん。この作戦で行きましょう。お互い松明を置きながら進み、先にミッションをクリアしたチームが松明を辿って援護にいく」


「わかったわ。っで、ミッションって何?」

「赤の洞窟はフレイル。青の洞窟はラストル。それぞれの討伐です」

「そして、ドロップアイテムの『赤いツノ』と『青いツノ』をゲットするの」


 私たちは「「「オー」」」と一言。出発の準備に取り掛かりました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る