第13話 ゾンビトラップ
洞窟内。カナちゃん達と再会することが出来ました。しかし、出口付近から聞こえるゾンビの唸り声が聞こえます。
「洞窟の奥に逃げ込みますか?」
「でも。この先は崖だからいけないよ」
「ユリちゃんが言うなら間違いないわね。じゃあ、どうする?このまま進む?」
「それっきゃ、ないようだな」
シュンスケ君がポケットから石の剣を取り出しました。身構えますが、私はとっておきの方法を、みんなに伝えます。
「ほかに良い方法があるよ。はい、ツルハシ」
「なるほど。掘って地上に出るんですね」
タクマ君は私の考えを一瞬で理解してくれたみたいです。トラップ用の石壁以外は簡単にツルハシで壊せます。
タクマ君の指揮のもと、洞窟の石壁を壊して掘り進めて行くと、ちょうど洞穴の出口近くに出ることが出来ました。
「時間がかかりましたが、何とか外に出れましたね。まだ、ゾンビも追いついてこない」
「さすが、タクマ」
「ユリさんのアイデアのおかげですよ」
男の子に褒められると、ちょっと照れくさい。外は山の中腹。薄暗い。少し霧がかかっていますが、長い時間を洞窟の中にいたので、外の空気は気持ちがいい。
カナちゃんは「う〜ん」と体を伸ばすと、みんなに声をかけます。
「さぁ、みんな、戦闘態勢!洞穴からゾンビがくるよ」
「その心配はありません」
「戦はなくて済むのか?」
「僕の計算が正しければ……」
薄暗がりが白々と、朝の空には、すがすがしい陽光が空を照らし、さらに山を照らします。
「ゾンビは太陽の光に弱い。これ常識です」
次々と洞窟から出てくるゾンビが燃えて、跡形もなく消えていきました。
「ウゲッ!こんなにゾンビが、ついてきてたのかよ」
「戦わなくて正解ね」
「お、おい。あそこに燃えてないゾンビがいるぞ」
巨大な緑色の巨人が洞窟を破壊するように現れました。みんなは、その怪物に釘付けです。
「あれは、ゾンビじゃありませんね。オークと言って、ゴブリンの……」
「タクマ。今は説明してる場合じゃないわよ」
私たちはカナちゃんの掛け声で、オークから距離を取ります。山林の物陰に隠れ、話し合うことになりました。
「シュンスケがトラップドアを解除して現れたのが、あのオークというのが僕の考えです。ゾンビは、オークから逃げるようにして、あの洞窟に入ってきたのではないかと推察します」
「うぐ!ゾンビもオークも、俺のせいかよ〜」
「でも、そのおかげで私は助かったよ」
「そうよ。ユリちゃんが助かったんだから、良いじゃな……」
そのとき、巨大なオークの持つ石の斧が、山の木々を薙ぎ払いました。ズドンという重い地響きに、全身が震えました。
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