第3話 初バトル

 茂みから現れたモンスターはクモだった。大きさは膝丈まである。八本足でキモチわるい。


「きゃっ」と驚きをあらわにする私たちをよそ目に、シュンスケくんは颯爽とモンスターに飛びかかりました。


「うりゃ〜」と雄叫びをあげるシュンスケくん。右の手には木の剣。シュンスケくんは、クモが吐き出すネバネバした糸を、ひらりとかわし、大きく振りかぶった木剣は、モンスターを一撃で、やっつけました。


「ヨッシャー!」


 剣を高くかかげ喜ぶシュンスケくんの肩を、横にいたタクマくんがたたきます。


「油断禁物。まだ、来るぞ」


 タクマくんが静かにしゃべる。森の奥から「ゔぅ〜」という唸り声が聞こえる。


「この声は!次はゾンビに間違いないな」


「まさか」


 わたしは空を見上げました。太陽が沈もうとしている。思ってた以上に時間の進みが早い。暗くなっていく東の空に月が顔を出していました。


 タクマくんは、どこから持ってきたのか?弓矢を構えています。


「ここは俺たちにまかせろ!」

「君たちはクラフト台で武器を作って下さい」


 タクマくんがポケットから何かを出したかと思ったら、それはすぐに大きくなり、地面に置かれた時には私の膝くらいの高さの作業台へと変わりました。


「クラフト台だ!」


 二人して大きな声をだしました。


「でも、ユリちゃん、どうしよう?」


 いつもは元気いっぱいのカナちゃんが、不安そうな目で、わたしを見ています。わたしは、握りこぶしを作って、声を振り絞りました。


「やるしか、ないよ!」



「……そうだよね!やるしかないよね」


 カナちゃんは、いつもの元気を取り戻したみたいに、クラフト台に向かいます。


「やるしかない」とは言ったものの、材料はどうしよう?


 わたしは近くに生えている木にふれました。どうにか、これを採取することはできないのだろうか?


 そう思って力を加えると、堅そうな木は粘土のように、ヌメリと手で掴み取ることができた。手で掘り出すようにして削り、採取していきます。


 木の幹を半分くらい削っていくと、木は傾き、まるで本物の木が倒れるように音を立てて地面に倒れました。


「スゴい!」

「カナちゃん、これ材料に使えるよ!」


 カナちゃんも急いで材料を集め始めます。どう見ても堅そうな木なのに、触ってみると粘土のように柔らかい。不思議です。


「ユリちゃん?これだけ、材料あつまれば大丈夫かな」

「うん、大丈夫だと思う。さっそく、クラフトをはじめよう!」


 わたしたちは、木の模様をした粘土を、クラフト台の上に置きました。

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