プロローグ②
神界にて上級でも下級でもない。中間階級にいた神。正史世界からは『武神』と呼ばれる神がいた。
武神の名は、アウダス。万軍を指揮するカリスマを持ち、武力においては神界の中では最高クラスで、彼を神々の戦争に入れる又は、彼に破壊を命ずれば、右に出る神はいない程の神である。
そのアウダスの誓約は……。
『戦争の火種を撒いてはならない』
『人々の戦争に干渉してはならない』
『人間に直接手を上げてはならない』
の三つであり、唯一許されることは喧嘩でも戦闘でも、戦争でも、アウダスはそれを見守り、種族の信仰の対象になること。
実質、種族に対して何もしていないように見えるが、神が信仰されることはそれだけで神から種族に力が与えられることを意味する。
だがら、直接ではないが間接的で受動的に、種族に力を与える。
これがアウダスに唯一許される行為である。
他の神から見ても、アウダスに掛ける誓約は、かなり厳しいものであり、正直に言えばアウダス自身も分かっていながらも、殆ど何も出来ないことに後悔していた。
三つの内一つでも破れば、神の座を停止か、人間に転生させる罰を下されるのだから。これでは自分は本当に武神として信仰されているのか。という疑問もあった。
そんな神の役割を何かと果たしていた武神アウダスはある日、突如生まれた異世界に飛ばされることになった。
神が異世界制裁に強制的に飛ばされることはまずあり得ない。
異世界制裁もまた、本来なら神判会議にてどんな理由で、何が目的で。という正当な理由を述べてから多数決で決まるものである。
もしそれが無ければ、世界の神々の奪い合いなど本当に世界が『破壊』されてしまうからである。だから多数決で決める。
だが、今回のように無条件で異世界に飛ばされることは例外であった……。
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