武神の異世界制裁

Leiren Storathijs

プロローグ①

 神の誓約とは、神が自身の権限を使って好き勝手に暴れ、世界の均衡が崩れないように神が自ら自身を縛ることで成立する。神界のルールである。

 もしその縛りを破った場合、自身を縛りながらそれを守れない責任の無さにより、神判会議によって、多数決でこの神が存在するべきを決められる。

 判決によれば通常は『神の座』という神の権限の行使を一時的に止められるが、最悪の場合は神権そのものを剥奪され、堕天使にされるどころか、人間に転生され下界に落とされることになる。


 人間と神という立場は完全に隔てられており誓約上、神は人間に侵攻せず、人間は神に逆らってならないという世界のルールが存在する。

 だから、神の誓約を破ることは世界の掟を破ると同等であり、滅多に無いが、神判会議が開廷された時は、殆ど場合かなりの長期間が強いられる。

 その点をもって、神は誓約を軽い気持ちで決して破ることはない。それなりの覚悟を持つことになる。


 しかし、それらすべての誓約を破ることを許される例外がある。

 それは、 『異世界制裁オルコス・カタクスティ


 人間やその他種族の異端信仰や作られた物語、伝承から伝説に至るまで、正史のズレが生じた時に生まれる別世界があり、それは神たちが意図しない世界の誕生のため、この世界を壊そうが我が物にしようがは、誓約は関係が無くなるというもの。

 つまり、神の縛りは自由に無視出来、世界を完全に私有物とするまで、その世界に少しでも興味があるのなら、神たちによってその世界は奪い合いになるというもの。


 異世界制裁は、その世界に住む種族にとっては溜まったものではないだろう。

 だが、神にとっては遊戯であり、縛りからの一時的な解放。『おまけ』なのである。

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