お風呂から出ると、アヤは自分の部屋に入り、ベッドの上に座った。

そして、タヌ助を膝の上に座らせると言った。

「タヌ助、わたしが喜ぶからって、今日みたいな、危険な事しちゃ、ダメだよ。」

「アヤさん、怒ってます?」

「ううん、怒って無いよ。

でも、タヌ助の正体がバレたりしたら、困るでしょ。」

「まあ、そうですけど。。。」


アヤはタヌ助の言葉を遮り、ギュっとタヌ助を抱きしめると、

「わたし、タヌ助が居なくなるなんて、イヤよ。」

目を閉じ、耳元で囁いた。

「アヤさん。

それって、わたくしのことを。。。」

タヌ助が顔を赤くしながら、ジッとアヤを見た。

「だって、タヌ助が居なくなったら。。。

わたしのわがまま・・・じゃなくって、『良い事』を、お願いできなくなるじゃない。」

そう言うと、アヤは、優しくタヌ助に頬ずりした。

タヌ助の口が、まるでロボットのように、カクンと開いた。


(何だろう。

この、モヤモヤとイライラ。

そして、沸々と湧き上がって来る、怒りに似た悲しみは。。。)

タヌ助は、少し悲しそうな顔で、アヤを見ながらそう思った。

「でも、ありがとう、タヌ助。」

アヤはそう言うと、タヌ助の頬にキスした。

タヌ助の顔が、真っ赤になった。


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アヤと化け狸 ~ 空回りな授業参観 木津根小 @foxcat73082

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