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朝食を食べ終えると、アヤは居間のTVを点けた。

そして、タヌ助をソファーの上に置き、更衣室で着替えたり、荷物をランドセルに入れたりした。

それらが終わると、アヤはブラシで髪をとかしながら、居間に戻って来た。

TV画面に、アヤの大好きなアイドルが映っていた。

「あっ、宮桜くんだ。

相変わらず、かっこいいなぁ。」

アヤはそう言うと、ソファーに腰を下ろし、TVに見入った。


「アヤさんは、この人が推しなんですか?」

タヌ助が、小声で聞いた。

「うん。

今、ドラマや映画にいっぱい出てて、人気なんだよ。」

そう言うと、アヤはウットリと見つめた。

ショートヘアで爽やかな顔に、キリッとした目でありながら、どこか母性をくすぐるような甘い声。

その全てがアヤのお気に入りだった。


「ほら、アヤ。

ボーっとしてないで、急がないと遅刻するわよ。」

「はーい。」

サトミにそう言われ、アヤは返事をすると急いで動き始めた。

ブラシを片付け、

ランドセルを背負い、

手荒にタヌ助を手提げ袋に放り込むと、

「行ってきまーす。」

と元気よく出かけた。


通学途中のいつもの場所で、同じクラスで親友のサキと会った。

今日は、同じクラスのショウも、サキと一緒だった。

「サキ、ショウくん、おはよう。」

アヤが元気よく言った。

「おはよう、アヤ。」

「おう、おはよう。」

2人が笑顔で言った。

ショウは少し顔を赤くした。


「アヤとサキは、今日の参観、両親が見に来るのか?」

ショウが、2人を見ながら聞いた。

「うちは仕事で、お父さんもお母さんも、来られないんだ。」

アヤが、少し寂しそうに言った。

「うちも来られないけど、お祖母ちゃんが来てくれるって言ってた。」

サキが、少し嬉しそうに言った。


「くそっ、良いなぁ、お前たち。

俺なんか2人とも来るんだぜ。

しかも、仕事を休んでまで、必ず行くって言ってた。

なんか妙に、気合が入ってるんだよな。」

ショウはアヤとサキを見ながら、羨ましそうに言った。


「それは、それは。

さすが、お父様とお母様は、よく解ってらっしゃる。」

サキが少し意地悪そうな目で、ショウを見ながら言うと、

「何だよ、どういう意味だよ。」

ショウが少し怒ったように言った。

「いえいえ、何でもありません。

ただ、羨ましいだけだよ。」

サキは笑顔でそう言うと、ギュっとショウの手を握った。


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