第44話 ただの幼馴染ではなくなった時

 翌朝。


 布団で目覚めた時にはすでに、俺の隣はもぬけの殻だった。

 脱ぎ散らかしたはずなのにしっかり畳んである俺の寝間着の隣に、ノートの切れ端と思われる書き置きが置いてあった。

 

『先に帰るね。今までありがとう』

 

 黙って帰ることないのに。

 ていうか、よく一人で起きられたな。


 そう思う俺だったのだが、俺たちがしてしまったことを考えると、顔を合わせにくくなってしまったのかもしれない。


「まあどうせ、休み明けにまた会うだろうし……」


 問題を抱えてしまった俺たちだけれど、まずは石動ともう一度会わないことには、どうしようもない。


 この時俺は、また簡単に石動と会えるものとばかり思っていたのだった。

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