嘘か真か

窓に背を向け、頭から布団をかぶりなりなおす。足先がひんやりと冷たい。小さな布団では寒さをしのぐことすら困難だ。


すると窓の方が青白く光った、気がする。得るもの一つだってない、この家に強盗か?利益より圧倒的にリスクの方が高い。ハイリスクローリターンは割に合わないだろう。


気丈に振る舞ったところで恐怖はぬぐえず、身体は正直だ。寒さではない震えに身の毛がよだつ。


また光った、気が。視界をシャットアウトしにかかる。だが、人間の目とは優秀なものでかすかな光さえも捉えてしまう。鈴の音の幻聴までし始めた。


どれくらいそうしていただろうか。ふと気が付くと暗闇には一点の光さえなく、ただ無音の空間が広がっていた。恐怖心がどこか旅にでると、臆病の小心者でも男児の端くれ。好奇心には抗えない。


音を立てることなくカーテンの向こうに目とやると、このときの光景を僕は一生忘れないだろう。


夢にまで見たあの赤いオッサンがいた。父さんのイタズラにしては手がこんでいる。絵本でみるようなずんぐりむっくりな体系。暑い生地の服。つやのある革靴。どれをとってもうちの人間でないことは明白だ。


ひげを大きく揺らすと、オッサンは僕をアリのように摘み上げ、そりの上に乗せた。


そりが空を飛ぶなんて童謡のなかにしか存在しないはずだ。いろいろとのみこめない事が多いが、命は惜しい。逆らうことをせず、なすがままにされ連れてこられたのは。


僕らの町じゃないか。いやどこか違う。


あ、色がある。

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サンタクロースの魔法 紀伊航大 @key_koudai

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