1-4「切っても血が出なかったお、きっとレーティング表現の低いゲームなんだお」

  ステータスを調べる事ができたので、もしや他の項目も鑑定できるのかと思い、気になる部分を調べていった。


【エクスプローラーズ】は日本語で探索者と言う事で、意味はそのままだと思うけれど、肉体と精神がそれを持たない人に比べると高まるようだ。その上でスキルを覚えたり魔法を覚えたり、ゲームのようなサポートを受ける事が出来るようになるみたい。


【LV】は強さの階位を示す数値で、ゲームではおなじみの内容だった。


 最初に大蝙蝠を倒した時に出てきたメッセージも調べてみようとして、トロフィーを見たいって思い浮かべると確認できた。ちなみにアチーブメントとか似たような意味を思い浮かべても確認できた。


【ファーストアタック】対象のダンジョンで最初のモンスター討伐の称号 ダンジョンごとに得られる特典が異なる。

特典を受け取るかの確認が出てきたので、YESを選んだらシンプルな指輪が手に入った。

【SR:SPリング SP最大量が50%アップ】これはかなり使えそうなアイテムだ、色々な効率がアップしそう。


【アンダメージ】初回の戦闘を無傷で終えた証し 特典はランダムのスキルか魔法


 出てきた特典は浄化の魔法【R:ピュリフィケーション】だった。体などの汚れを綺麗にする、水や空気を綺麗に出来るようで、その範囲はINT依存。今の僕には体を綺麗にするのはともかく部屋の掃除は無理そう。


 とりあえず今調べられる事は調べられたと思う。よし、体調も悪くないからダンジョン探索をしてみようかな?昨日に比べれば準備も万端だ……きっとゴブリンにも負けないはずだ!


 ガチャで出た装備でLV制限をクリアした物を選んで着替え始める。余った物はすべてアイテムボックスに収納。出し入れも頭で考えた物をすぐに取り出せる事を確認。本当に何も無い場所から出てくるファンタジーな現象に感動だよ。


 武器は最初にガチャから出たブロンズソード、防具は丁度LV5で装備可能な、リザードスケイルシリーズが今一番強いみたい。【UC:身体強化C】も出たから、もしもの時も瞬間火力に期待できる。


 それじゃあ探索開始だ!!


 ちなみに通路の壁を鑑定すると【迷宮名:家の倉庫D 種類:秘宝迷宮】と出てきた。家の倉庫Dって、昨日、僕が勝手に名付けた名前だよね?もしかしたら最初の発見者が付けた名前になるのかも?だとしたら、もう少しちゃんとした名前にすれば良かったよ。


【秘宝迷宮】というのは要するにガチャ自販機?があって、ドロップ品もガチャコインだけのダンジョンの事を指すみたい。つまり、他にもダンジョンの種類があるのだろうね、他がどこにあるのか分からないけれど。


 他にどんなダンジョンがあるのかと、思いを馳せつつ通路を進んでいく。ちなみに今回は、LEDヘッドライトを付けているので、スマホはマップアプリを起動してズボンのポケットに入れている。さすがに剣と盾を装備しながら、スマホは持てないしね。


 5分ほど歩いたので、そろそろ蝙蝠がいるあたりではないかな?少しだけ歩く速度を落として警戒する。


 ……いた、と言うかまだ見えないけれど何となく分かる。


 僕は顔を……LEDライトを……天井の蝙蝠がいそうな場所に向けた。『ギャギャーーーッ!!』大蝙蝠は叫び声を上げながら地面に落ちる。


 よ、よーし、攻撃するぞ。昨日はスマホを向けるだけしか出来なかったけれど、今の僕の手には剣がある。


「おおおおおっっ!!」


 大声で自分を鼓舞しながら剣を振りかぶり、大蝙蝠に勢いよく振り下ろした。剣先が蝙蝠の体に食い込む感触を抱くと、蝙蝠が動きを止めて消えていった。


「切っても血が出なかったお、きっとレーティング表現の低いゲームなんだお」


 生き物を切りつけた感触にそれほど抵抗を感じなかった。エクスプローラーズになって、精神的に強くなったのかもしれない。金貨……ガチャコインは出てこなかった。昨日のスマホを向けるよりも、短時間で倒す事が出来た。これなら夕方までにもっと奥に進む事が出来そうだ。


 蝙蝠に対しては十分な安全マージンがとれている事を確認した僕は、少しペースを上げて通路を進んで行った。ちなみに大蝙蝠を鑑定したら【ジャイアントバット LV:1】と出てきた。モンスターの名前とレベルのみの表記で、詳細な説明は無く、実に不親切設計だ。まぁ、レベルが分かれば、ある程度強さを測れるからいいかな?


 それからテンポ良く蝙蝠を倒し、いくつかのガチャコインを回収しながら進んで行くと、昨日ゴブリンと遭遇した場所にやってきた。同じ場所にはいないようなので、再び慎重な足取りで進み始める。


 もしかして【サーチ】のスキルが使えるかも?せっかくなのでスキルを試してみると、あ、わかる。ゴブリンの気配を感じた……索敵にも使えるなんて便利だな。どうやらこちらから遠ざかるように移動しているようで、当然、僕の存在には気付いていない。


 ……これは、もしかしたら不意打ち出来るかもしれない。


 あまり足音が出ないよう、かつ素早く進み、曲がり角のそっと覗くとゴブリンの後ろ姿が見えた。よし、念の為にバフをかけておこう。僕は【プロテクション】と【クイック】を自分にかけると、ゴブリンの後を追い始めた。あと10歩程の所で剣を振りかぶりながらダッシュをした。さすがにゴブリンは足音に気付いて振り返ったが、既に剣を振り下ろす最中。僕の剣はゴブリンを袈裟切りにした。『グギャア”ア”ア”ッ!!』ゴブリンは断末魔を上げて消えてゆく。やった、不意打ちだとはいえ一撃だった。これは心配しすぎだったかもしれない。


 こうして僕は昨日のリベンジを果たしたのだった。


 今更だけど、鑑定をかけて敵のLVを調べておけば良かったよ。まぁ、今更だし次のエンカウントで調べてみよう。何より初めて見る敵には、鑑定をかける癖を付けるようにしないとね。ゴブリンの落としたガチャコインを拾うと、再びダンジョンを進んで行く。


 その後、何度かゴブリンと遭遇して、それを危なげなく倒していった。ゴブリンのLVは3で、不意打ちや複数相手では無ければ、後れを取る事はなさそうだった。戦闘でスキルを使わなくとも大丈夫そうだったので、移動中は【サーチ】を駆使して、敵の不意打ちや、複数いそうな相手を避けて探索を続けた。喉の渇きを感じて【アイテムボックス】から水筒を取り出して麦茶を飲んだ。スマホを見るともう16時を過ぎていた。


「そろそろ家族が帰ってくるお、一応風邪で休んでいるんだから部屋に戻った方がいいお」


 帰りも【サーチ】を使って安全かつ、素早く出口に向かい、本日のダンジョン探索を終えたのだった。ガチャを回して、戦利品や装備を【アイテムボックス】に収納、家に戻ってシャワーでも浴びようかと思ったけれど、試しに【ピュリフィケーション】を使ったら、汗も引いてさっぱりした。これはなんて便利な魔法なんだ。


 自室に戻るとステータスと戦利品のチェックを始めた。


【NAME:真田巧美 LV:12 JOB:キモオタ】


 HP120/120

 MP16/17

 SP17/17


 ATK:E

 AGL:E

 DEX:E

 INT:E

 DEF:E

 MGR:E

 LUK:E


 LVが12まで上がったね。HPはそこそこ伸びたけれど、MPが微妙だ。SPは指輪があるからなんとかなっている。探索中も【サーチ】でMPを切らしそうになったし。キモオタのジョブはMPが上がらないのかもしれない。


 ……と言うか、そもそもキモオタとか何なんだよ、絶対職業じゃ無いよね? ジョブチェンジを要求するよ!!


【変更可能JOB】 【戦士】 【剣士】


 あ、変更できるみたいだ。よかった、一生キモオタとかだったらどんなマゾゲーなんだよ。気を取り直して、ジョブを調べてみよう。


【戦士:前衛向きの武器、盾の扱いが得意 敵のターゲットを引き寄せやすい】


 HP220/220

 MP22/22

 SP42/42


 ATK:D

 AGL:D

 DEX:D

 INT:E

 DEF:C

 MGR:E

 LUK:E


 これは、何というかタンク寄りな性能なのかな?防御力が強いから安全に探索するなら戦士がいいね。


【剣士:剣全般の扱いが得意 両手剣や双剣を使え、素早く敵を倒す】


 HP220/220

 MP32/32

 SP32/32


 ATK:C

 AGL:D

 DEX:D

 INT:E

 DEF:D

 MGR:E

 LUK:E


 キモオタほどでは無いけれど、防御は高くないから、やられる前にやれ! ってジョブなんだね。タンクがいてくれるなら安全に敵を攻撃できそうだ。


 よし、ソロでぼっちの僕は安全に戦士で行く事にしよう!!戦士にジョブチェンジだ!!


【JOBが戦士になりました】



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RPGでお馴染みの転職やジョブチェンジです。


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