1-3「鑑定だお!!」

 さっそく鑑定スキルを使おう……どうやって使うんだ? とりあえず足下に置きっぱなしの剣を見つめると……


「鑑定だお!!」


【C:ブロンズソード 可能LV:1 詳細:初心者向けの剣、弱い】


 足元の剣に関する説明が頭に浮かんだ。


「な、なんだか雑な説明なんだお」


 もしかしてスキルにレベルとか熟練度があるタイプかな? せめてモンスターに使えるといいのだけれど、試してみないと分からない。他にもステータスとか色々な情報を鑑定できないかな?


【NAME:真田巧美 LV:5 JOB:キモオタ】


 HP50/50

 MP10/10

 SP8/10


 ATK:E

 AGL:E

 DEX:E

 INT:E

 DEF:E

 MGR:E

 LUK:E


 おお、頭でステータスを見たいって思い浮かべれば、ログと同じように見られるのか。ラノベみたいに声に出してステータスオープン! とか、僕にハイレベル過ぎるので良かった。それにしてもHPとかMPは数字でわかりやすいのだけれど、他の能力がアルファベットで詳細は分からないのか。多分、Eが最低なのだろうね。まぁ、これからレベルを上げていけば上がるのだろう……というか、レベルもいつの間に5になっている。倒した数からもう少し上がっていても良さそうな気もするのだけれども……スマホのライトで倒せる程度の敵だから経験値が低かったんだろうな。ステータスの詳細とか、ATKとか鑑定できるのかな?


【ATK:攻撃力 筋力の強さ。この数値が高いと大きなダメージを与える事ができる】


 おお、実は鑑定も声を出さないでよかったみたいだ。これも少し恥ずかしかったので良かった。そんな感じで色々鑑定してみようと思い、上から片っ端に調べていく。


【HP:体力 激しい運動などでも減少する この数値が1割を切ると戦闘不能に、0になると死亡する。時間で回復していく】


【MP:魔力 魔法を使用するために必要 この数値が1割を切ると情緒不安定になり、0になると気絶状態になる。時間で回復していく】


【SP:精神力 スキルを使用するために必要 この数値が1割を切ると無気力になり、0になると睡眠状態になる。時間で回復していく】


【DEX:器用さ 手先の器用さ、行動をする技術 この数値が高いと行動の精度が上がる】


【AGL:素早さ 行動の早さ、移動の早さ この数値が高いと少ない物より多くの行動できる】


【INT:知力 魔法の使用、マジックアイテムの効率に影響する この数値が高いと大きな魔法ダメージを与える事ができる】


【DEF:防御力 堅牢さ、防御の効率に影響 この数値が高いと受ける物理ダメージを減らす事ができる】


【MGR:魔法防御 魔法抵抗、魔法軽減に影響する この数値が高いと受ける魔法ダメージを減らす事ができる】


【LUK:運気 他の能力にわずかながら影響する この数値が高いとあらゆる行動が良い結果になりやすくなる】


 なんだか、予想通りだった……ううっ、無駄な事をした気分。


「もう何だかどうでもいいお、早く部屋に帰って寝るお」


 ガチャから出たアイテムもそのままに、僕は自室に戻るとそのままベットにダイブして寝てしまった。




 ……はっ!? っと目が覚めたらもう朝だった。


 なんだか体が匂う……お風呂に入らないで寝てしまったせいか? 眼鏡をかけたままだからフレームも歪んでしまっている。そうか、きっと鑑定はSPを消費するのだな。でも、それならSP消費1だとして、全部鑑定する前にゼロになって、その場で寝てしまうのでは? もしかしたら鑑定中にSPが少し回復したのかもしれない。

 ふと、ログを確認すると無気力状態になったと表示されていた。それよりも鑑定でSP消費するとかちょっとハードじゃない?


「もうちょっと易しい仕様にしてほしいお」


 それにしても、なんだか体がだるい……SPは完全回復しているのに、HPが増減を繰り返している。他にも頭がぼーっとする……これって風邪かな? 汗だくなのにそのまま寝たからか。これからはSPやMP管理に気をつけないといけないな。



 しばらくするとドアをノックする音が聞こえた。


「巧美、まだ寝ているの? もう朝ご飯できてるわよ……どうしたの? 入るわよ」


 ぼーっとして無言だったせいで、母さんが部屋に入ってきた。


「ちょっと、どうしたの? 具合が悪いの? 体温計持ってくるから待ってなさい」


 熱を測ると案の定38度以上の熱があった。よし、合法的に学校休めるからラッキー!! 今日は金曜日だから3連休だ!!


 母さんは学校に連絡を入れた後、おかゆを作って持ってきてくれた。食後、おかゆのお皿を取りに来た後、パートに出かけていった。仕事を早く切り上げてくるような事を言っていたが、さすがに高校生になってそんな心配はいらないとなだめた。美百合も学校へ行く前、部屋に来て心配していたけれど、風邪がうつるといけないから早く学校に行くように言い聞かせた。……病気になった時も家族の優しさが身に染みるよ。




 お昼頃に目が覚めると、体調はすっかり回復していた。これもレベルアップの恩恵だったりして? 下に降りると軽くシャワーを浴び、母さんが作り置きしてくれていたおにぎりを食べた。


 そしてまた倉庫に向かった。結局、扇風機も持ってこなかったしね。


 忘れないうちに倉庫から扇風機を持ってきて、脱衣所に置くと自販機前に戻り鑑定を再開した。今度はSPを使いすぎないように気をつけないとね。


 こうして僕は鑑定を繰り返し、SP回復の間はスマホでソシャゲをしながら時間を潰した。


 ステータスの様々な部分を鑑定できて色々分かった。武器、防具は一応鑑定したものの、案の定わざわざ確認するまでも無い内容だったので置いておいて……


【R:サーチ 探したい対称の位置を知覚できる。INT依存で距離、種類が多くなる】


【UR:アイテムボックスL 次元の狭間にアイテムを保管する。中の時間は止まる。同スキルの中でも最大級の量を収納可能】


【R:プロテクション 防御力を上げる。使用者のINT、対象のDEFの数値が高いと効果も上がる】


【SR:鑑定 あらゆる対象の情報を調べる事ができる。使用回数が増えるほど情報量も増していく】


【UC:スメルコントロール 自分の知っている匂いを発生、または消去させる事ができる。効果時間、強さはINTに依存する】


【C:ポーション 少量のHPを回復する事ができる。割合回復では無いためHPが高い者には効果が薄い】


 とりあえずスキルは全部取得しても良さそうなので、すべて覚える事にした。


【サーチ】はINTが低くても、僕の身の回りの物なんかは見つけられるみたい。これなら昨日みたいに机を隠されてもすぐに見つけられるだろう。

 

 やはり【アイテムボックス】はチートだね!! しかも時間まで止まるなんて。これからは学校に持って行く弁当とお財布は安全なこの中に入れよう!! これでカツアゲされても大丈夫!! 教科書や体操着にもいたずらされないね。


【プロテクション】はスキルではなくて、魔法扱いみたいだ。学校でリンチにされる時にかけておけば、ダメージを抑えられそうだ。


【鑑定】は大雑把だと思ったら熟練度タイプだったみたい。達成値を見えるようにしてほしいね。できる事なら運営に連絡したいよ……運営なんてあるか分からないけれど。


【スメルコントロール】略してスメコンは、僕みたいなキモオタはすぐに汗臭くなるから案外悪くないスキルだよ。


 これで学校のいじめられっ子生活もかなり軽減されるね!! せっかく手に入れた能力の有効活用がこんな事にだなんて……ううっ、なんだか目から汗が出てきそうだよ。


 よし、気を取り直して昨日は12回しか回していなかった、ガチャの続きを今のうちにやってしまおう!!


 こうして僕は、金貨が無くなるまで10連ガチャを引き続けた。色々な被りアイテムはあったし、さすがに2個目のURとかは出なかったけれど、気になるアイテムはこんな感じだった。


【C:ジャストイクイップメント 限度はあるが、装備品がジャストサイズになる】


 これでガチャから出た、明らかにサイズの合わない装備も着る事ができた。限度があるって事は巨人とか種族違いの装備とかは駄目なのかもしれないね。これはパッシブスキル、覚えれば常時発動のスキルみたいだ。


【R:クイック 素早さを上げる。使用者のINT、対象のAGIの数値が高いと効果も上がる】


 魔法扱いなのでINTが低いと「質量のある残像か!?」みたいな事は無理だけれど、体感で明らかに早く動けるようになった。50m走ならクラスではぶっちぎりだと思う……でも100m走だと途中で効果が切れちゃいそう。


【C:身体強化D すべての能力をDまで底上げする。既に能力がD以上の者は変化しない】


 ちょっとSP消費は大きいけれど、ここぞという時に頼りになりそうな能力だ。ボス戦とかあった時に重宝しそうだ。


 ちなみにステータス値以外も鑑定できた。今のジョブなのだけれど……


【キモオタ:一般的に嫌悪を抱かれやすい容姿、趣味を持つ特殊ジョブ。全体的な能力は低いが、精神的苦痛に対して鈍感になる。意図せずに特殊な言葉遣いになる】


「この口調はジョブのせいだったんだお!」



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キモオタ口調はジョブの特性でした。


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