古本屋という舞台と、「つくもがみをつくりたいおじさん」という独特な存在感が、日常の中にしっとりとした妖怪の空気を呼び込んでいます。
怪しい"物"を通じて描かれる出来事は、不気味さと温かさが絶妙に同居していて、読み進めるほどに惹き込まれました。
また、語り手である「私」とおじさんの関係性が微笑ましく、おじさんの奇妙な行動を見守りつつも嫌いになれない心情が、とても自然で愛おしいです。
さらに魚沼くんという存在が加わることで、怪異と日常、そして人と人とのつながりがやさしく描かれているのも魅力的でした。
怖さだけではなく、ふっと心が温まるような怪談を楽しみたい方にぴったりの物語です。