イマジナリーフレンドならぬ、「イマジナリー妹的な何か」の見える少年のお話。
幼い子供だけが見る一種の幻、と、果たしてそう断定していいものかどうか。
どうあれ、この物語が主人公自身の視点を通じて語られるものである以上、少なからず「実在している」と言って差し支えない〝妹〟の物語です。
すこし不思議なお話であると同時に、ひとりの少年の成長期の姿を描いたものでもあって、そこが非常に素敵でした。
とにかく中田くんが好き。彼のキャラクターというか、ないんか滲み出る「いいやつ」感のようなものと、その彼と親交を深めていく経過がもう大好き。
とはいえ、単に十代の日常を描いただけのお話では当然なく、主軸はやはり妹の存在感。
ときおり見せる「明らか普通の人間ではない」様子の、その危うさがとても印象的な作品でした。