第28話 ロング・グッドバイ(レイモンド・チャンドラー)

(´・ω・`)

皆様 明けましておめでとうございます。



前々回、このエッセイにも書きましたが

私は元々、あまり小説を読まないタイプで

最近、まともに小説を読んでいなかったので

この年末年始の機会に『ロング・グッドバイ』を読みました。



【ロング・グッドバイ(長いお別れ)】(1953)

レイモンド・チャンドラー作(村上春樹 訳)



(´・ω・`)

ハードボイルド小説の三大巨塔は

・ダシール・ハメット

・レイモンド・チャンドラー

・ロス・マクドナルド

と言われています。


特にチャンドラーの作品はハードボイルド小説の

基本フォーマットを確立し、大きな影響を与えた存在です。

ハードボイルドの古典であり原点とも言えます。



あのイアン・フレミングも

チャンドラーファンの一人で

「フィリップ・マーロウ」シリーズのような作品を目指し

執筆したのが『007 カジノロワイヤル』だそうです。


村上春樹先生が翻訳してるのも

自身の愛読書であり、巻末の解説には

「初めて本作を読んで以来、40年ほどに渡り

折に触れ、繰り返し手に取り読み返す作品」

と評しています。


後の作家への影響力の高さが伺えるエピソードです。




(´・ω・`) 

私は感想を書くのが苦手でして……



(´・ω・`)

村上春樹先生の翻訳によるところも

あると思いますが

1950年代のアメリカの小説である事を

考慮すると、非常に読みやすいです。

簡潔で、余計な説明的描写が少なく、短文の連続という

ならではの文体によるものだと思います。



また、590ページという長編ながら

短編集のようにテンポ良く、場面展開するところも

読者を飽きさせず、読み進めさせます。

各章毎に、少しずつ読み進める事も出来ます。



おかしな感想ですが

客観的で簡潔な一人称による描写、

情緒的比喩的な台詞など

典型的な私立探偵ハードボイルドの物語

という印象でした。


それは逆で、この作品(フィリップ・マーロウシリーズ)の方が

源流であり、基本フォーマットを確立させ

後の作品に受け継がれているからです。



(・ω・)

カクヨムで長編小説を書いている作者さんにも

執筆の参考になる作品だと思います。




(´・ω・`)

『あらすじ』


本作は、私立探偵フィリップ・マーロウと

些細なきっかけで知り合った

暗い影を持つ男、テリー・レノックスとの

独特の距離感のある友情が物語のベースになっています。


ある日、テリーからメキシコに逃がして欲しいと頼まれ

理由も聞かず、メキシコへの逃亡を手伝うマーロウ。


LAに戻ると、テリーには妻殺しの容疑がかけられ

マーロウは共犯として逮捕拘留されます。

一貫してテリーの犯行ではないと信じ警察に抵抗します。


ところがテリーの自殺により、唐突に

事件は終焉し、マーロウは釈放されます。


果たしてテリーは本当に妻シルヴィアを殺したのか?

依頼された別の調査と共に、ふたつの事件の真相を探っていきます。



(´・ω・`)

私が印象に残ったシーンを略し

若干改変し抜粋します。


________________


死んだテリーの事を回想した。

彼の姿はすでに、遠く退きつつあった。

妙に心惹かれる弱さを持った男だった。



長い船旅で知り合った誰かに似ている。

とても親しくなるが、実際には相手の事を何も知らない。

港に着いて連絡先を交換し、別れの挨拶をする。


こちらからも連絡する事もなければ

向こうからもないだろう。

再び会う事もあるまい。



もし、どこかで再び出会うなら

やあ、久しぶり あの旅は楽しかったな

などと言うのだろう。


本当は死にそうに退屈な旅だった。

その男に声をかけたのは、興味が持てそうなものが

他に見当たらなかっただけだ。



私とテリーの関係など同程度のものだったが

同じではない。


彼を信じメキシコへ逃亡させ

警察に拘留され、ひどく殴られた。

彼はもう死んでしまって、五百ドルを突き返す事もできない。

それを思うとしゃくに障った。


腹が立つのは決まって些細なことなのだ。


__________________



(´・ω・`)

『ロング・グッドバイ』の作品の雰囲気が伝わったでしょうか。


そして執筆と平行し、プロの書いた小説に触れる事も

大切だと改めて思った作品でした。

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