第13話 パーティー戦

「――って訳だ。俺だって全てを理解している訳じゃない、ただ『空の力』は魔法以上に何でもありだ。不可能だって可能にしてしまう。この世の証明出来ない事象は全て『空の力』だ、そう言われたって不思議じゃない」


 寝室からリータを尾行し始め、現在に至るまでの状況を簡単に説明し終えたリュート。彼らは、物陰を移動しながら遺跡へと向かっていた。


「なあ、リュート、このまま廊下を移動するよりも、案内人と作戦会議をしたと言っていた隠し部屋から行った方がいいんじゃないのか?」


 ローズの言うように、その選択が正しい。あそこならアヴァレルキヤの魔法使いでも極一部しか知らないし、外部の人間であるリュートたちが知っているとも思わないだろう。だが、


「それは無理だ」


 周りの気配を探り、視線を彷徨わせながらリュートは答える。


「俺たちが案内人にその隠し部屋へ案内された時、周りは濃霧によって視界がほぼ塞がれていた。案内人なしではその部屋には辿り着けなーー伏せろッ!」


 雲の裂け目から射した月明かりが彼らを照らした瞬間、バリンッ! と、窓ガラスを割って外から入って来た黒い何かがリュートたちを襲った。


「ガァァゴォォアアッ‼︎」


 雄叫びを上げながら振るわれる鎌のような巨大な爪を避けたリュートは、瞬時に変身を済ませると自分たちを襲ってきた黒い何かに渾身の一撃を入れる。


「フンッ‼︎」


 拳に伝わる重みから確かな手応えを感じ、間髪入れずに回し蹴りを放つと、廊下の壁に敵を叩きつけた。


「ガロォァ……」


 力ない声と同時に、壁の破片と敵の身体がその場に崩れ落ちる。


「リュート、大丈夫?」


 杖を出しながら駆け寄ってきたミレアに、問題ない、と短く答えると変身を解除する。生身のリュートの身体を見て傷がないことに安心したのか、彼女は安堵の息を吐くと杖をしまった。


「うおっ! そ、そ、そ、そいつ! 門の前にいたやつじゃないか!」


 驚きのあまり尻もちをついてしまったローズが、産まれたての子鹿の様にプルプルと震えながら襲ってきた敵を指差す。


 コウモリのような羽に、肉食獣の胴体、猿と人を混ぜたような醜悪な頭をしているが顎の部分だけがやけに発達している。子供なら一発で号泣するレベルの石像だ。


 確か名前は……、


「ガーゴイルだったか。こいつ、動くのか」


 見た目や質感は完全に石なのに、一体どういう仕組みなのだろうか。まあ、魔法なら何でもありか……?


 ふと、違和感にぶつかる。それはものの数分前に言った自分の発言に関してだ。


『『空の力』は魔法以上に何でもありだ。不可能だって可能にしてしまう。』


 魔法とは、超常の力。火を出したり、水を出したり、風を起こしたり、日常生活で使えれば戦闘などにも使える、この世界にありふれた便利な力。


『空の力』とは、未知の力。その実態は全く分からない。もし案内人の言うことが正しければ、異星のあんどろいろ? とか言う神の正体とやらが使っていた奇跡とも言える力。


 二つの共通点……『何でもあり』……超常の力も未知の力も同じ『力』であることには変わりない。暴力と武力が名称だけが違うように、根本的な部分は同じ『力』だ。では、この二つの力の違いは何なのだろうか。


 リュートが動かなくなったガーゴイルをじっと見つめていると、


「どうしたんだ? リュート、お前もしかしてソイツが怖いのか? 私は全くこれっぽっちも怖くないけどな‼︎」


「リュート、大丈夫? やっぱりどこか怪我をしたの? 痛いところあるのだったら私、全力で治すわ」


「あっ……いや、何でもない」


 いけない。今は遺跡に向かうのが先か。気になることがあったらついつい考え込んでしまう自分の悪癖を自覚しているのだが、なかなか治らなくて歯痒い。ソロの時のこの癖を早く治さなければ。


 今後も、こういった不意打ちで襲われる可能性を考慮したリュートは再び変身し、その状態のまま進むことにした。


「おい、こっちにいたぞ! 全員集まれ!」


 チッ、次から次へと! 考え事をしていて気配を読めなかった!


 前方の角から現れた男がリュートたちを指差す。その声に連れられて数人の人影が彼の背後から姿を表した。暗くてよく見えないが格好から察するに、アヴァレルキヤではないようだ。


 騒がれる前に今すぐ気絶させたいが、距離が遠すぎる……仕様がない。


 リュートは両手を目の前に出し、真紅の新星を撃つ体勢に入る。 


 建物に飛び火する可能性があるが、ここですぐに騒がれるよりはマシだ。


 リュートの手中に真紅の火球が生成されていく。


「ファイアーボールが来るぞ! シールドを張れ!」


 それを目撃した頭目らしき男が周りの仲間へと指示を飛ばす。二人の男が彼を守る様に前へ出る。両手を広げた彼らは指示通り、シールドを張った。


 ファイアーボールと言われたからか、水の魔法で生成されたシールドは彼らを満遍なく半球の形で覆った。


 水相手に炎では分が悪い……だが、シールドに当たる直前に爆発させればッ!


 真紅の新星は、外見こそファイアーボールと大差ない。だが、使用者の任意のタイミングで爆発させられると言う特性を持っている。ならば、爆発時の衝撃波で水のシールドもろとも吹き飛ばすことも可能なはずだ。


 一瞬の躊躇いの末、リュートは火球を放つことにした。


火炎砲かえんほう・真紅の――」


「ライトニング・ブロー」


 リュートが火球を撃とうとした直後、彼の隣を高速の光る何かが横切った。


 バチッ! と言う力強い音と背後から聞こえたミレアの声、短い叫び声を上げて倒れた水のシールドを張っていた二人の男、この状況からミレアが電撃系の魔法を放ったのだと理解できた。


「な、何が起きやがった⁉︎」


 いきなりのことに困惑を隠せずに叫ぶ頭目は、バタバタッ! と倒れる周りの仲間を見て更に混乱する。


「さあ、次はお前の番だ」


「ひぃっ!?」


 周りの闇に隠れて移動していたのか。


 頭目は、自身の背後に潜んでいたローズによって気絶させられると、周りと同じ様にその場に倒れた。


 周りの気配を調べ、近くにもう誰もいないことを確認し終えたリュートは、彼女たちに礼を述べる。


「助かった、あのままでは大きな騒ぎになっていた」


「私、もっと頼ってもらってもいいと思うわ」


「そうだぞ、リュート。私たちは仲間だ、結束だ、絆だ! もっと効率良く敵を捻り潰そうぜ!」


 少し不満そうなミレアに、サムズアップを決めるローズ。


「……すまない」


 頭を下げるリュートに、ローズが笑いながら答える。


「ハハハッ、いいってことよ。それよりも、問題はコイツらだ。この格好、明らかにアヴァレルキヤじゃないよな。アヴァレルキヤと言うよりは……」


「冒険者……だな。ミレア、灯りを頼む」


「私、分かったわ」


 頭目の男をミレアが静かに照らす。闇の中露わになった頭目の顔に三人が息を呑んだ。


「こいつ、昼間の不良冒険か」


 リータに絡んで案内人に痛い目を見せられた一人だ。他の倒れている奴らを確認する。やはり全員が昼間の不良冒険者だった。


「……どういうこと?」


「よしっ、聞いてみるか」


 可愛らしく首を傾けるミレアに比べ、ローズが不敵な笑みを浮かべる。


「ん?」


 既に気を失っている相手にどうやって話を聞くのか。洗脳系の魔法で自白させるのだろうか。相手に意識がなければ、魔法剣士であるミレアの魔法でも容易に掛かる。


 ミレアに注目していたリュートだが、動き始めたのはまさかのローズだった。彼女は指をポキポキと鳴らすと、


「ここを、こう!」


「ぐはっ!」


 突いた、物理だった。いや、確かに魔力を温存することを考えればそれも正しい選択の一つだ。


 頭目が咳をこみながら、目覚める。突かれた痛みによるものか、しばらくその場で身悶えた頭目は脂汗を流しながら次第に呼吸を整える。


「はぁはぁ……な、何しやがる」


 動こうとした頭目に、ローズが素早く腕の関節を極める。ミシミシと骨と骨の間、関節が軋む音が耳を翔けた。


「うぐっ!」


「動くな、少しでも動けばこの腕をへし折る」


 仲間には向けない様なドスの効いた声だった。


「お前ら、何が目的だ?」


「『何が目的だ?』だと? いきなり攻撃してきたのはテメェらじゃねぇか!」


「…………」


 黙るローズ。相手の発言に一理あると思ったのか、関節技を外そうとする。


「待てローズ、離すな」


「どうした、リュート?」


 確かに、先に攻撃をしたのは自分たちだ。それは何と言われようが覆りようのない事実だ。だが、彼らは自分たちを見つけるいなや騒ぎ立て、周囲に自分たちの居場所を知らせようとした。その事実も変わらない。


 彼らがどの様な立場でどの様な目的で自分たちを探していたのかは分からない。大方、アヴァレルキヤに高額で雇われたのか? ……いや、それよりもなんだ、さっきから感じるこの違和感は?


「リュート、どうしたの?」


 黙るリュートの顔をミレアが覗く。


「あ……ああ、悪い。考え込んでいた」


 リュートは自身の考えを整理して二人に話す。


「今の俺たちにとってコイツらが邪魔に働くのは分かった。目的を話さないのであればこのまま寝てもらおう。もしくは、手脚の二、三本いっとくか?」


 頭目の顔をじっと見据えながら話す。


「チッ、分かったよ。金で雇われたんだよ。アヴァレルキヤにテメェらの死体を持ってこいって」


 思いのほかあっさりと吐いた頭目に、リュートは疑いの眼差しを向ける。


「嘘か? 罠か?」


「こちとら金で雇われただけの冒険者だ。依頼主に義理立てする理由はない。それに、吐けば拷問はされないんだろ? 


 だったらいくらでも吐いてやるよ。信じるか信じないかはお前ら次第だが、拷問してからもう一度聞いてみろ。俺の答えは変わらねぇ」


「そうか……分かった」


 リュートは頭目の顎を蹴飛ばし、意識を刈り取った。


「ミレア、自白させる様な精神魔法は使えるか?」


「ごめんなさい。私、使えないわ」


「ミレアって戦闘特化だからな〜、アマゾネス的には結構羨ましいんだぞ?」


 責めた訳ではないのだが……申し訳なさそうにするミレアに、ローズがサムズアップを決めて励ます。


「別に謝ることはない。やるべきことは変わらないんだ」


「やるべきこと?」


「ああ〜、戦利品漁りか。これも冒険者の醍醐味だな! ……おお、かっこいい剣! でもちと細いな〜、片手剣はいらねぇや。大剣ねぇかな〜」


 鼻歌混じりに彼らの鞄の中身や着衣物を物色し始める。まるで時間勝負の空き巣の様な手捌きで、必要な物や価値のある物と不必要な物とで山が作られていく。


 新たな相棒を手に入れる為か、ローズの顔は必死なものだ。彼らはランクB冒険者の為、装備も自分たちよりも立派な物なのだが、どうやらローズの琴線には触れないらしい。


「ミレア、俺たちも始めよう。出来ればポーションなどが欲しい、だがリータを迎えに行くことも考えて手短に済まそう」


「私、分かったわ」


 リュートとミレアがそれぞれ他の不良冒険者たちの持ち物を物色していく。取り敢えずロープが見つかったので全員を縛っておく。


 それから出てきた物は、金銭、武器、防具、身分証明の役割を果たす冒険者プレートなどなど、どれもリュートたちよりもワンランク、ツーランク上の物だ。


「うん? これは……」


 そうだ、これだ。これが違和感の正体だったんだ。


 リュートは物色した物の一つに目を光らせる。


「ミレア、ローズ、これを見てくれ」


 リュートの手元をミレアが照らし、それを全員が確認した。全員の瞳が困惑の色に濁る。


「そっか、そういえば……」


 口元を手で覆ったローズは、まじまじとリュートの手にした頭目の冒険者プレートを見つめた。冒険者プレートには頭目の名前やその他の情報が書かれている。だが、問題はそこではない。色だ、赤黒く光沢のある銅色だったのだ。


 冒険者プレートは持ち主のランクによって色が仕分けられている。


 冒険者ランクが、E、D、C、B、A、Sと昇級するのならば、それに比例して冒険者プレートの色も、緑、青、赤、銅、銀、金、となっていく。つまり、銅=ランクB冒険者ということだ。


「本来、ランクD冒険者である俺たちが勝てる様な相手ではない」


 神妙な顔で違和感の正体を口にするリュートだが、それはローズの笑顔によって一瞬の内に瓦解した。


「ハハハッ、良かったじゃねぇか。格上を倒すのは気分が良いぜ」


 ……それだけか? この状況を目の当たりにして? 俺たちは噂話や世間話を聞いた訳ではなく、当事者なんだぞ。なんで、こんなありえないことに無邪気な笑顔をするだけなんだ?


 ミレアの方を見てみれば、彼女も少し誇らしげな感情を唇で表現している。


「……どういうことだ? 俺の方がおかしいのか?」


 リュートの呟きにミレアとローズが顔を見合わせる。お互いが? を頭の上に浮かべているのを見るに、どうやら本当にリュートの言いたいことが通じていないようだ。


「い、いや、俺たちはランクD冒険者でコイツらはランクB冒険者だろう? 何で勝てたんだ? 普通なら格上には勝てないはずだろう? それが冒険者の世界の常識だ。それが冒険者の強さを示すランクシステムのはずだ。どんな新米冒険者だって一週間もしない内に、早ければ冒険者になった瞬間に、周りの先輩風を吹かす冒険者たちによって否が応でも勝手に叩き込まれる弱肉強食の理だ。それが、何故今回は勝てたのか。もちろん、相手が格上なら必ず負けると言うのは言い過ぎなのは重々理解しているつもりだ。相手だって生きた人間だ。体調が優れない時、気分が優れない時があれば、こちらが知るよしもない様な何かしらの背景があって負けてしまうことだってあるだろう。だが、それはあくまで一対一の単体戦に限った話だ。パーティー同士の団体戦なら、自分を他のメンバーがカバーしてくれるものだろう? ならば、今回の戦いに関してそれは除外される。もう一つ思い浮かんだのは装備の違いだ。自慢するつもりはないが、俺の燃える真紅の鎧はこの世界に数える程しかない様な伝説の武具に入っていてもおかしくはない代物だ。実際、俺はこの鎧を装着した結果、ランクD冒険者の俺が元とはいえランクA冒険者のグリッドを倒せたんだ。その時のあいつは上級ポーションを飲んでいたし、まだまだ現役で活躍出来る程の力を持っていた。そんな化け物を殺せた鎧を装着した俺が攻撃を加えたのなら、今回の戦闘の勝因は理解できる。だが、俺は攻撃を途中で止めた。つまり、攻撃しなかった。コイツらを攻撃して倒したのはミレアとローズだけだ。確かに俺がコイツらの気を一瞬でも引いたのは事実だが、だからと言ってそれが大きな勝因と果たして言えるのだろうか? いや、真剣勝負の中で一瞬の気の緩みが命取りだと言うことは知っているから、それが勝因だと言うのならばそれを否定するつもりがなくはないのだが、どうにもスッキリと納得できる様な説明でなければ理由でもなーー」


「もういいもういい! 長いわ! こっちもいろいろと驚愕の事実を今の説明で知っちまったけれど、全部後! 今はリータを迎えに行くのが先だ! 男だろ! 考えるな、感じろ!」


 顔を真っ赤にして割と本気で怒っているローズは、適当な武器を拾うとリュートによって失ってしまった時間を取り戻す様に走り出す。そのすぐ後ろを、鎧越しにデコピンしたミレアが追う。


 リュートは自然と、ミレアにデコピンされていた箇所をさすっていた。鎧、厳密に言えば仮面の役割も果たしている兜の正面部分にデコピンされたのでリュート本体にダメージは全くない。だが、彼は同じ部分をゆっくりとさすり続けた。



 その後、廊下で遭遇した冒険者たちや、ガーゴイルを捌きながら遺跡に辿り着いた。時には隠れ、時には不意打ちをし、気配を感知出来るリュートを先頭にした三人は闇の中を進む。案内人が出現させた光球は既に消失しており、遺跡は本来の暗闇を取り戻していた。


 ミレアに光を灯してもらうことも考えたが、それではこちらの居場所を相手に知らせるようなものだ。結果、リュートたちは暗闇に目を慣れさせて移動を続けていたのだ。

そしてとうとう、リュートたちは昼間に見つけた巨大な人工物の前に辿り着いた。


 見渡す限りリータの姿はない。もう中に入ったのだろうか。


「……チッ、どうりで魔法使いの数が少ないと思った訳だ」


「どうした?」


「?」


 小さな舌打ちをするリュートは真っ直ぐに人工物を見据えていた。正確には、自分たちを中へと誘うように出されている緩やかな斜面の裏や、暗闇によって支配されている影の部分。


「引き返s――」


 言いかけた言葉を遮るかのように地面が揺れた。まともに立っていられない程の揺れを感じながら、リュートは震源に混乱する。


 なんだ、この気配は⁉︎


 震源が動いていた。気配で分かる。これはただの地震ではない。何らかの意思を持って活動している巨大な生物だ!


 ズゴゴゴゴッ! と地震を発生させる意思を持った巨大な音が地中からリュートたちの足元へと姿を表すと、遺跡のはるか天井まで一直線に伸びていく。それは巨大な壁だった。


 それと同時に人工物の近くから数多の光球が天井へと放たれ、辺りは昼間のような明るさに支配された。


「――くっ!」


 急な明暗の変化が目に瞬間的な激痛を与える。


「うわっ!」


 今まで目立たないように黙っていたローズもこれには言葉を漏らしてしまった。


「――――ッ!」


 ミレアも表情はあまり変えていないが、明らかに不機嫌そうに腕で顔を隠している。


 光球が放たれた場所からぞろぞろと現れたのは、魔法使いの集団だった。中にはガーゴイルも含まれており、彼らの周りには触手のようなものがウネウネと踊るように蠢いている。


「魔女の森って言うやつか」


 明るくなったおかげというべきか。下から生えた壁の正体はまるで編み物のように複雑に絡み合った巨大な植物の根だった。


 それは進軍する魔法使いたちの軍団から後ずさるリュートたちを絡め取ろうと、鞭のように根を飛ばす。しかし、植物ならば燃える。


 反射的に壁に向かって火炎攻撃を放とうとしたリュートだが、懐に手を伸ばした瞬間、躊躇いが生まれた。


 果たして、俺の独断で燃やしていいのか?


 少し前には、ミレアやローズは仲間を頼るように言っていた。彼女たちにも何か作戦があるかもしれないし相談した方がいいのだろうか。


 それに炎は毒を生む。換気が十分ではない洞窟や密室では自身や仲間をも危険に晒す可能性がある。


 と、とりあえず向かって来た時は短剣で……しまったッ!


 時既に遅し。次の瞬間、リュートたち三人は勢い良く襲って来た根によって壁に磔にされてしまった。


 身動き一つ取れない状況の中、眼前の集団は杖を伸ばした。

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