7/23

「とにもかくにも、あーんを実行する。なのでここに頭を乗せて」


「結局耳から食わせる気か……いや待て、『そこ』に? おまえは俺に、頭を『そこ』に乗せろと言っているのか?」


「そう。ここに。私の、正座した、ひざの上に」


「おまえッ……! その体勢、その行為ッ! 一般的になんと呼ばれているか、理解しているのかッ!?」


「オフコース。私はこれから、俗に言う、『ひざまくら』をしようとしている。そしてオマエなら分かるはず。十六年間も幼馴染をしてきたオマエなら、私が身にまとっている『覚悟』を」


「ああ、分かるさ……! 最初から気づいていたが、まさか……! おまえが今日はいてきたスカート、『短い』ッ! 今までおまえがはいてきた、どのスカートよりも!」


「これが私のチラリズム、その完成形。ちらし寿司から始まり二重三重に織り込んだ、男をオトし恋人とする至高のチラリズム」


「最初から、術中にハマっていたというわけか……! いやマジでだったらなんでメガネ挟んだ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る