第56話 粛々と暮らすわけにはいかない

 アリア、桃子は学校に戻った。


 ふたりとも原爆投下には触れなかった。


「桃、部活行ってくる」


「うん、私も何か部活始めようかな?」


「え?」


「いや、ね、時間大事にしないとな~と思って」


「剣道やろうよ!」


「いや、文科系で考えてる」


「すごくいいと思う!」


「うん、ありがとう、いってらっしゃい」


「は~い」


 アリアはまだ受け入れられなかった。本当に自分は何もできないのか?しかしこれから先は神の領域だ。


「神か~」


「いかん、部活に集中しよう」


 そう言い聞かせ道場に入った。


───────────────────


 就寝が遅くなった。


 時計が24:00になるのを傍観していた。


 そしておもむろに言った。


「イワンいるのでしょ?」


「イワン、イワン」


「なぜ、わかった?」


「いやな感じがしたからよ!」


「ふふふ、相変わらずつれないね!」


「私の部屋に2名はせまいわ」


「すぐ消えます」


「見張りでしょ?」


「えへへへへ」


「私はあなたの1000倍強いのよ」


「承知しております」


「イワン、私、神に勝てる?」


「また、バカなことを……」


「─────────────本気」


「それだから見張りが必要になるんですよ」


「卑弥呼様が天界で荒れた時の強さは私より上?」


「遥か上」


「そう、それでも制圧できなかった」


「全然、全く」


「イワン、私、原爆投下を止めるつもりなの」


「やめなさい、天界の了承事項でしょ」


「原爆で死んだらどうなる?」


「まあ、罰があるでしょうね。その後は『遠い空国』の王女が順当でしょう」


「そして『吸収木』の件を解決するのね」


「そう、そのあと今の孫悟空に戻ります」


「自立」


「え?何?」


「卑弥呼にそう伝えて、自立」


「やめなさい」


「イワン、ぶっ飛ばすよ」


「釈迦には勝てない」


「ひとりだけではね」


「何?」


ロナルド

マックス

三蔵法師

モグ

雉神

桃子


そしてイワンでしょ?


「う~む。

しかしアリア、死んだら孫悟空の力は没収だぞ。そしたらただの少女だ」


「いや、私はただの少女にはならない。新たな力を手に入れる」


「死んでも生き返る、繰り返し繰り返し」


「アリア、取りあえず今日の話しは伏せておく。くれぐれも早まった行動を取るなよ」


「わかった。ただ原爆投下は防いでみせる」


「それが背信行為であることも覚えておけよ」


「上等だわ」


 イワンはちょっと焦り気味で帰っていった。

 アリアはわりと平気で自分の考えがまとまっているのに驚いた。


 神になりたいのではない。全ての命を守れるとも思っていない。


 ただ傍観者だけには成り下がりたくないだけだ。


「そんな大人になってもしょうがない」


そう思っていた。


 

 原爆投下まで3日を切っていた。















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