D第4章『破滅の予感』

第47話 先日…そして… 

 

三蔵法師に部屋に呼ばれた。

 3LDKの一室だ。


「孫悟空の持ち物である、如意棒と筋斗雲を持ちなさい」


「え?!」


「加速装置があれば必要ないと考えていたが敵の大きさがわからぬ。あなたにしか使いこなせる者はいないから。はい」


「え~、これが如意棒!すごいな~でも使わないときは邪魔ですね?」


「大きさを極小にして耳の穴に入れておくのです」


「ふ~ん。極大はどのくらい?」


「いくらでも大きくなる。筋斗雲は叫べばくる。かわいいやつだ」


「それはすごいな~」


「それとな悟空……」


「はい」


「悪い話だ」


「はぃ」


「吸収草が寿命前に枯れる現象が発生しているとの報告を受けた」


「なんですって?」


「黒い霧より優先順位が高いのではないかとの話になっている」


「それではわれわれは?」


「わかない。釈迦が判断されよう」


「そうですか」


「困った、困った……」



───────────────────


 三蔵法師の困った顔がちらつく。


 いつも通り出勤して掃除をしていた。


「スル。あ?!タバタバタバタバタバタ」


人が階段から落ちる音がした。


「悟空さん?!」


 雉神が救急車を呼べと叫びながら悟空の元に駆け寄った。


「悟空さん……心肺停止」


雉神が心臓マッサージを続けたが息は吹き替えさなかった。


「アリア……」


モグは生きながら死んでる風であった。


三蔵法師に連絡して、雉神とモグは救急車に乗っていった。



────────────────────


 

 孫悟空のお体は三蔵法師から釈迦へ。


 釈迦から孫悟空仏へとお返しした。


 

────────────────────

 


 時を同じくして、一人の女の子が意識を回復した。

 名はアリア。交通事故に遭い、植物人間となっていたが1年ぶりに目覚めた。


「アリア、お母さんよ。わかる?」


「違う。お母さんじゃない」


「アリア、アリア」


「お母様、落ち着いて」


「だって先生、違うって!」


「本人も混乱してますから…無理もないです。1年間も眠り続けていたのですから」


「そうですね」


「モグ?モグ?」


「モグは家にいるわよ。はい、写真」


「違う。モグじゃない」


「現実が消去され、変わりに生きた人生が本物になってしまったのかも……」


「先生、大丈夫なんでしょうか?」


「とりあえず意識が戻っただけでも今は良としましょう」


「はい」


 それからアリアは現実世界を学習し、仮想世界を消し去る訓練を受けた。


「あれは夢だったのか。第3次世界大戦はなかったのか」 


「私が王女でそれで孫悟空になんてなるわけない。普通に考えてもそうじゃない」


「みんな嘘だったんだ──────」



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