第31話 土地を耕す
ルータスは張り切っていた。
朝から晩まで農業に従事した。
すると……
「ルータス、もう帰っておいで~」
とアリアがいつも迎えに来てくれた。
お昼のおいしい弁当と帰っておいでのお迎えでいくらでも頑張ることができた。
さらにはアリアは妊娠していた。
「アリア、お迎えはいいよ。体にさわるよ」
「そんなの平気よ。だって帰ってこないじゃない」
「見えなくなったら帰ってくるよ」
「だって明日の朝は牛乳配達でしょ?」
「そうだよ」
「働きすぎよ」
「生まれてくる子のためにもお金がいる」
「なんとかなるって。無理しないで!」
「わかったよ」
「だいたい真面目すぎるのよ!」
「真面目以外取り得がないもん」
「素晴らしけど趣味とか持ってよ?」
「それよく言われるけど……何していいかわからん」
「そうねえ……料理とか?」
「あ~僕にさせるつもりだね?!」
「えへへへ、ばれたか!」
「じゃ、今度釣りに行ってみようか?」
「いいね。池でのんびりと……」
「じゃ、そうしよう。釣り具はルーじいさんに借りよう!」
「そうね。買って楽しくなかったらもったいないもんね!」
「料理もできるようになるよ」
「よし」
「すぐ超えたりして……」
「なんですって?5年間やってきたのよ?」
「はい。ありがとうございます。凄まじい進化を遂げられました!」
「バカにしてるな?」
「早く食べて寝ないと……」
「このやろう。やってみるがいい。毎日毎日」
「毎日毎日というのが難しいんだよね!」
「そう、1日食べて3日食べないでいいんだったら世の中変わるよね!」
「変わるね。む~いい方に変わるかな?」
「なんでよ。みんな働かなくなるよ?」
「働かなくていいならそれでいいんじゃね?」
「そうね。私、矛盾してた。ルータスには働くなと言って、民には働けと言ったり。だいたい働くってなんなんだろう?」
「僕は時間をお金に換えるシステムだと思ってるよ。だから単価が低ければ長時間働くしかないんだ」
「あ~ね~さすが」
「それに災害さえなければ農業ほど確実に稼げる仕事はないんだ」
「あ~ね~さすが」
「まあ、吸収草は生存のため利益は度外視だけどね」
「あ~ね~さすが」
「アリア寝たいんでしょ?」
「あ~ね~さすが」
「寝ろ」
「うん」
ルータスは食器類を片づけて、納屋を見回ってから床に就いた。
「僕に子供が生まれる。赤ちゃん、かわいいだろうな。こんなに興奮することないな」
とは言え、日々のハードワークの睡魔には5分も勝てなかった。ルータス、おやすみ。
かわいい赤ちゃんが待ってるよ!
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