第23話 交錯

「アリア、戻りました!」


「お帰り、アリア……アリア……」


 ふたりは強く抱きしめ合った。マックスが遠目でその光景を見ていた。


「ヌ-じいさん、あのふたりは愛しあっているのかい?」


「うぬ。幼い時からな……」


 ここにもアリアの幸せを願う男がいた。

マックス「そうだったのか。そうか……靴屋の嫁になったくれとも言えないしな。我が国の覇権を守った功労者として国賓として迎えたい……それがアリアとの最後の旅だ」


「国王」

 

「マックス、よくやった」


「アリアを国賓としてジダン王国に招きたい」


「それはアリアに聞いてくれ」


「わかりました」


 残念ながらアリアは窮地から世界を救った女性として生きていかなければならない。そんな女性が普通の平凡な暮らしを手に入れることができるのか?難しいであろう。外側だけでなくアリアの内側でもいろんな思いが交錯するであろうからだ……


「マックス、話があるって何?」


「うん、アリアを国賓として国に迎えたいんだよ。兄さんにも了承済みだよ」


「国賓……普通でならいきたいけど国賓って感じじゃないでしょ、私?」


「アリアは今から何処に行っても国賓級だよ。世界の危機を救った少女として、それにふさわしいを受けるんだよ。ティースプーン1本からね!」


「わかりました。行きましょうジダン王国へ」


 一行はジダン王国へと飛びたった。5時間のフライトである。


「行ってきます~」


────────────


────────


─────


 ジダン王国に到着した。

 国王、王妃、ロナウド王子以下取り巻きのものが大勢でマックス一行を出迎えた。


王妃「マックス、マックスよくぞ無事で」


国王「今回のおまえの働きを大いに評価する。でかしたぞ!」


ロナウド王子「お疲れ!」


マックス王子「兄さん、約束は覚えているよね?」


「はて?なんのことだ?」


「ふざけるな?」


「アハハ、わかっているよ。アリアが来ているんだ。王家を離脱するのはその後でも良かろう」


 国王と王妃は最高の国賓級でアリアをもてなした。

 ロナウド王子はちょっと違った目でアリアの姿を追った。


「マックス、アリアは好きな奴がいるのか?」

「いるよ」


「それでお前を諦めたんだな?」


「何を言ってるんだよ?」


「私はそんなことでは諦めないぞ」


「たのむからアリアを苦しめることはやめてくれ。やるなら黙っていないぞ!」


「強くなったか?マックス。結構。ただしアリアは我が妃とする」


「兄さん……アリアを幸せにできるの?」


「幸せは人からしてもらうものではない」


「そんな結婚は許さない」


「マックス、誰にそんな口をきいているんだ?」


「兄さんだよ」


「今からお前には背中を見せない。チャンスがあればいつでも刺すがいい」


「何を言ってるんだよ。兄弟喧嘩してまで進めることなの?お母さんが悲しむよ……」


「半分以上は冗談だ。怒るなよ!アリア滞在期間の3日待とう。」


「わかった。3日間だね。アリアに伝えるよ……全くオヤジそっくりになってきたな」



 3日あれば国家転覆も可能である。今回の吸収木の一件でマックスは軍部の支持基盤を掌握しつつあった。


 いずれにしても地球人は戦闘民族に違いない。




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