第19話 卑弥呼の思い
「お―卑弥呼様、ひとりで何して遊んでいらっしゃるのですか?」
「あ―山仕事お疲れ様で―す」
「この前は勾玉で遊んでいましたね!」
「は―い。今日はまた別なのね。勾玉はできたから……」
「ほ~何ですか?」
「スギを植えます!」
「はて?また、なぜ?」
「はい。山でお仕事をする人の目印になればと思いました。今はまだ小っちゃいけれどそのうち大きくなります。みんなを雨や風からも守ってくれたらいいなあ~と思って」
一堂は目を丸くして顔を見合った。
「卑弥呼様……」
「は―い、卑弥呼がんばりま~す」
「ありがとうございます。助かります。私らなんぞのために……」
「みんなのために早く、大きく、強くなってほしいで~す」
「すごいお子だ。末恐ろしい」
───────────────────☆
卑弥呼は植える木をスギだけではなく、ナギ、モチノキなど種類を増やしていた。1種類にした場合全滅する危険が高まるためだ。
自分は見ることが出来ない物に必要性を感じて行動を起こすとは幼くしてすでに国王の片鱗を感じさせた。
卑弥呼は木だけではなく岩、滝、川も自然信仰の対象とした。自然の大切さを1800年前から訴えていた数少ない人間と言えるだろう。
「さてとここは出来上がりっと。次はどこに植えればいいか教えておくれ」
卑弥呼は占いに水晶を用いた。
「うんん、おかしいな。真っ黒になっちゃた?何が起こるか教えておくれ!
人は水を労働した対価で手にすることができる
水を?
人は空気を水の1000倍の対価で手にすることができる
空気を?
未来は大変なことになる……」
卑弥呼は占いで未来を知り苦しんだ。そして未来人のために出来ることを逆算して導き出した。勾玉型PCを作り出したが進化した生物の手助けを借りたとしかいいようがない部品があった。これらを埋め、スギなどを植樹した。これらの作業は輪廻転生し何千本と行われたがPCを根本とで抱いた神木は最終的に108本だけが残った。
卑弥呼は自分の占いが外れることを祈りながらその後の作業を代々の神々に託した。
そして今、1800年前の卑弥呼の力を必要とする時代が到来してしまった。
「空気を生み出す神木は108本しかないの。後は種子から成長させて、それで世界の人の空気とするの。我利我利の欲を捨てみんなで分け与えれば生きていけます。生きなさい」
アリアはここで目が覚めた。
「卑弥呼……あなたの思いを引き継ぐわ」
1800年の集大成がアリアに託された。
卑弥呼とアリア、神はいつも女の子である。
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