第18話 奴国地区の動静

「報告します」


「うん。手短かにたのむよ」


「はい。1号御神木以外の107本の御神木が地上100㍍の上空で静止し旋回を続けています。また、互いに閃光を発し意思疎通を取っているものと思われます。また、屋久島の1号御神木に空挺にて合いに行った者がいるもようです」


「わかった。下がっていいよ」


「はい」


「黒田大臣、如何いたしましょうか?」


「君は事務方トップの事務次官だろ?まかせるよ……」


「…………」


それだけ伝えて大臣室に戻った。


「すまん。遅れたな」


一堂に起立し、礼をして、PCを打ち始めた。

 

 50名で組織された特別部隊である。その存在は防衛省内でも秘密とされた。


「名前は判明したか?」


「はい

ジダン王国 マックス王子 他兵士7名

遠い空国 アリア王女 ペットの犬1匹

             以上です」


「わかった。密入国だな。指名手配だ」


「はい」


「木はどうなった」


「植樹するときに現在のPCにあたるものを同時に埋めたものと思われます。木間の閃光による通信元はこれです。送信した画像の根本の勾玉がそれにあたると思われます」


「うむ」


「107本が団体行動しているので厄介ですので1本消去しますか?もしくは107個の勾玉を破壊してはいかがでしょうか?」 


「勾玉を破壊しても神木は大丈夫なのか?」


「しょせん植物と石もしくは機械ですから相容れないと考えられます」


「それは確証がないな。却下だ。今回は公然の面前で行う仕事だ。失敗は許されない」


「はい」


「元に戻せばいいんだよ。そんなに難しいのか?こうなった原因はなんだ?」


「遠い空国 アリア王女の存在だと思われます」


「根拠は?」


「春日大社の神主の証言より、王女は3本シッポの犬の主で代々神が引き継いできたものを持つとのです。それは卑弥呼の時代まで遡ります」


「卑弥呼?また、厄介だな。アリア王女を殺せば元に戻るのかな?」


「神木が自主行動している部分も観られるため、アリア王女の死後どういう行動を取るかは予測できません」


「では、誰を殺せばいいのかな?」


「…………」


「実験が必要です。神木を1本、解体すればわかってくることがあると思います」


「しかし神木のバランスが崩れるという話ではないか」


「それも本当のところはわかっていません。勾玉がバランスを管理しているだけかもしれません」


「…………緊張感が……もう1度言うよ。奴国地区が世界の覇権を取れるか取れないかの瀬戸気はなんだよ。総理からは何をしてもよいと言われているんだ。わかっているのか」


「……はい」


「88号御神木を採取。勾玉部分含む解体を行う 以上」


「はい」


「全く東大卒は使えないな」


とタバコに火をつけた。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る