第15話 吸収木の怒り

                       

 厳重な警護のなか、


マックスは「うおおおおおぉぉぉ」叫んだ。


(これほどの巨木が街からすぐ近くの山に存在する?なんて国だ?!)


マックスは叫んだ後、暫く、吸収木に見取れていた。


アリア「マックス、やっとやっと着いたね」


マックス「うん…………………創造を凌駕した大きさだよ。素晴らしい……見てるだけで厳かな気持ちになるよ」



「いや、これは、シッポを3本持つお犬様?!」


「あ、こんにちは。私の犬です」


「あ、こんにちは。この神社の神主です」


「アリアです。中東の遠い国からきました」


「アリア?!驚きました。奴国では遠い昔から3本シッポを持つ犬の主は神様とされてきました」


「神様?まさか?モグの飼い主は私だけど私は神様ではないわ」


マックス「神主様、お話しを聞かせて頂けませんか?」


「いや、いや、こちらがお話しを聞いていただかなければならない」


 風が強く吹き、地面が軽く揺れた。


 アリアのドキドキが始まっていた。


「こちらにお越しくださいませ」


 マックス「はい」


神主様「どうしたものか。大変なことになりますぞ」


「まあ、落ち着いてください」


「すいません。神社の古文書によるとうちの御神木には88と番号が付けられています。108本あるなかの88番目と理解してください。そして108本すべて同じ神様が植栽したものです。1代目は卑弥呼と申します。それから輪廻のたびに植栽を続け108本の御神木を植えました。それを歴代の神々が守り続け今日に至っています」


「奴国の歴史を知らないのでお尋ねするのですが、アリアは神で御神木を守りに来たということなのですか?」


「そうです。うちの御神木が朝からざわめいていた訳が理解できました。アリア様が近くにいらしたからです」


「吸収木として扱うことは間違っているのですか?」


「そうです。御神木は種子を海外に輸出などしなくても108本の御神木で地球を守れるらしいのです。卑弥呼は最初から現在を占い、得て知り108本にしたのです。逆にバランスが崩れると地球を守れません」


アリア「御神木を守る……私が?」


 

 すると屋外で轟音がした。


(バキッバキッバキッバキッ…)


「あぁ 御神木様が……」


 御神木は地面を割り、空中へと浮かび上がった。そしてそのまま上昇し、地上100㍍の地点で止まり旋回し始めた。根本には勾玉らしきものが見えた。御神木は旋回しながら幾つもの光を放ち始めた。


 それは御神木88号と御神木107本が交信を始めたように見えた。そのとき神主が申し訳なさそうに「108本の1本目が全てを統括すると書いてありました」とこれまでの現象を想定内といわんばかりの顔になっていた。


 モグが「アリア、いくわよ!」といわんばかりの顔で地上30㎝くらいの高さで飛んで見せていた。












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