第7話 着弾・避難

 空挺の窓口からマックスが……


「アリア、見てごらん」


「え?」


「窓から明かりが見える」


「あ~本当だ。きれい」


「どれだけの人が苦しんで死んだのだろう」


 アリアはその直接的な言い回しにドキリとした。


「僕には父上、母上、兄がいるんだ。兄が王位を継承することになっている。みんな仲が良いんだ」

 

「うん」


「兄が国王になったら僕が王家から離脱することを許してくれる約束になっている。だからこれが最後の仕事になると思う」


「ふ~ん」


「靴屋さんになりたいんだ。なかなか自分に合う靴がなくてそれなら自分で作ろうと思って!これもそうだよ」


「これマックスが作ったの!上手!」


「ただ父上は許してくれないと思うんだ。だから王位を剥奪してもらうんだ」


「母上様は?」


「母上は100%いつも僕の味方だよ。20歳で被爆したんだ。顔半分、火傷してケロイドになってしまった。王家の人だったけれど保母さんをしていて最後まで子供をシェルターに誘導していたんだ」


「すごい」


「母上はケロイドを隠さなかった。ただ幼い子供と会う時は怖がってはいけないと髪で隠した。そんな母上の心の強さに惚れて父上は結婚したんだ。母上は辞退したし、王家の反対も凄まじかったと爺やから聞いている。それらの反対に対して父上は非難を受けるたびに自分の指を切り落とすことを断言したんだ。実際、左手小指はない」


「すごい話です」


「そんなうちらの家族が私利私欲、覇権ほしさに吸収木を探すわけないだろう。吸収木は核と同じだよ。ダイヤモンドとは訳が違うんだ。ジダン王国が独占して公共の利益のために使うんだ」


「本当にそう思う」


(ドカン、ボカン 凄まじい音と共に火の手が上がる)


「着弾しました。ミサイルです。墜落します。避難してください」


「何機やられた?」


「不明です。王子、避難してください」


「アリア、モグ来て!空挺が墜落する。僕の言う通りにしてくれ。このス―ツを着て酸素ボンベを背負うんだ。それから防毒マスクを着けて、そう後ろで調整して。外は汚染された空気が支配する世界だ。決して吸ってはいけない。わかった?」


「わかった」


「OK,1.2.3 GO」


 マックスはふたりを送り出した。


操縦士に向かい、

「いくぞ!」


「いや、私は最後まで残ります」


「王子の命令だ。おまえが避難しなければ私もしない。お前子供が生まれたばかりじゃないか?」


「王子」


「生きよう」


「わかりました。ありがとうございます」


ふたりもまた避難した。


「先客がミサイルを撃ってまで拒んでみせた。東の国……これは脈があるぞ!吸収木に近づいている」


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