第4話 さあ、行くよ。乗って!

 国のみんなが吸収木を探すなか、アリアは旅立ちの準備をしていた。


 アリアは2つ、確信していた。ひとつは吸収木が見つからないであろうこと。あるとしたら鬱蒼とした林、もしくは森ではないかと思っているからだ。遠い空国には森はない。


 ふたつ目は吸収木が見つかってもマックス王子は私を連れていくだろうことを。多分ね。


 国王の落胆とアリア王女のご機嫌は反比例していた。親の気持ちも知らず事はアリアの思い通りに進んだ。


 国王はあきらめた。人質はアリアだ。


 マックスが家に何かの機械を持ち込んでいた。

アリア「マックス、何をしているのですか?」


「はい。無線機というものを取り付けています。電力は太陽から取ります。これさえあれば地球の裏からでもお母様とお話しできますよ!」


「なにを地球の裏から話すのですか?」


「え?!」


「話すことは帰ってきてから話します!」


「は~あ、喜んでくれると思ったのですが?」


「気持ちが凄く嬉しい!」


「あぁ~よかった」


王妃「マックス王子ありがとう。うちは貧しい国だから魔の大戦前のもので恥ずかしいのだけれど……これ動いてる」


マックス「これはCITIZEN、アテッサ。ソ―ラ―、電波、チタンの幻の時計です。うそだろう!本当にありがとうございます」


「あら、そうなの。よかったわね!」


マックス「国王。アリア王女をお預かりいたします。万が一のため空挺部隊は10機まで増やす予定です。有事の際はいつでも連絡してください」


国王「ありがとうございます。武力で戦うつもりはないですよ。初めから武力がないのですから(笑)アリア、元気で!」


「お父様、行ってきます!」



 こうしてアリアの吸収木を探す旅が始まった。


──────────────────


 空を飛ぶのは初めてだった。


 でも全然怖くなかった。


 むしろ懐かしさを感じた。


 今からたくさん飛ぶことになるとは……


 違う国の人とお話しするのは初めてだった。

 経験が不安を払拭してくれた。


「マックス、最初の吸収木が見つかったのはどこなの?」


「東にある国って聞いてる」


「東?どのくらい東なのかな?読んだ本みたいに国境線がないからわからない!」


「そうだね。僕も最初は戸惑ったよ」


「空からでも森は見えるのでしょ?」


「見えるよ。みんな枯れてるけど……」


「吸収草みたいに稲と色が違ったらいいのにね?」


「うん。……触手が光る可能性はあるな!」


「それなら夜、捜索したほうが効率いいよ」


「そうだね」


「リンリンリンリン……」


マックス「無線機がなっている。嫌な気がする」


「マックスです。どうしましたか?」


「遠い空の国王だ。吸収木を探す軍隊に占領されてしまった。3日後までに吸収木を持って来なかったら村民をひとりづつ殺していくという。恥ずかしい話しだが私では国民を守れない。助けてほしい……」


「わかりました、国王。3日後までに間に合うように戻ります。安心してください」


「ねえ、どうしたの?何かあったの?」


「大丈夫だ。心配しなくていいよ」


 マックスは右手首に付けた時計に目をやった。


「全機、6時方向に舵を切れ。全速力で進行せよ」


「目的地:遠い空国、遠い空国」



アリア「え?!」



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