第3話 探しものは吸収草の数万倍
外ではみんな仕事に戻らず空挺の中を見たり、兵隊とバカ話をして笑っていた。
「娘を人質に……私ではダメですか?」
「王女をお願いしたい」
アリアは一部始終、話を聞いていた。
「お父様、私が人質になります」
国王「人質……探しものが見つかれば人質はいらないのでしょ?」
「はい。そうです」
「そしたら明日からみんなで探そう!それで一体探しものってなんなんだい?」
「吸収木です。吸収草みたいな草ではなく木を探しいるのです!」
「吸収木……」一堂顔を見合わせた?
アリア「吸収草と何が違うのですか?」
マックス「吸収草は3年で枯れますが吸収木は寿命がありません」
アリア「え?!寿命がない。そんなことがあるのですか?」
マックス「あります。また、吸収草は種子を生涯に1度しか作りませんでしたが、吸収木は毎年種子を残します」
アリア「あの…マックス王子、酸素排出量はどうなのですか?」
マックス「はい。3年成長木で吸収草の3万倍です」
アリア「素晴らしい!吸収木の見分けかたは?」
マックス「はい。普通の木にない触手を備えているそうです」
(国王はいわゆる最近の若い者にはついて行けないなあとひとり寂しい気持ちになっていた……)
アリア「吸収木も素晴らしいけど吸収草の改良法は見出せてないの?」
マックス「はい。試みていますがまだ出来ていません。しかしアリア王女の言うとおりその分野にも力を入れないといけないと思っています」
(仲良く議論するふたりを見て国王はまた違う意味で人質にだしたくないと強く思った)
国王「もう、このくらいにして明日に備えよう。確認しておくが吸収木が見つかれば人質はなしだからな!いいなアリア!」
「……はい」
国王(こいつ、人質になりたがってるな!全く……でもまあ、外に出してみるのもいい経験かもなあ。もうすでにマックス王子を尻に敷いてたもんなあ。困ったなあ、お母さんそっくりだ!)
お触れ書きを出す必要もなくみんな外にいたので「明日、9:00から吸収木を探すので全員集合」あと仕事に戻るようにとだけ伝えた。
───────────────────
マックスはアリアに空挺の中を案内した。
「すごい技術力ね!」
「魔の大戦前の60%まで技術レベルは回復したらしい」
「ふ~ん。うちの国とは大違い!」
「いろんな国作りがあっていいと思うよ!」
「吸収木に世界が先んじて群がっているのはなぜ?」
「覇権がかかっているからだよ」
「覇権?空気を売る気なの?」
「石炭、石油の産出国が世界を牛耳たようにね」
「バカげているわ!先の大戦から何を学んだのかしら。シェアすればいいんじゃないの」
「僕もそう思う」
「え?!」
「国王と話して多くを求めない価値観に共感したんだよ」
「それで私?」
「それだけじゃないよ」
「え?!」
「吸収木が見つからないよう祈ってる」
「…………♡」
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