第2話 人質になってもらう
少し小雨で冷える夕刻のなか、宮殿(といっても普通より少しだけ大きなおうち)でお父様とお母様とモグと国民、みんな一緒に空挺の到着を出迎えた。
3台の空挺は着陸する箇所に配慮し、吸収草、稲穂のない広場に降りたった。
まず兵隊が30名降り、銃口をこちらに向けた。みんなに緊張が襲う。
「銃やめい」
と言いながら20代かと思われる男性が降りて来た。傍目に見ても彼がトップと思われた。その根拠を勲章の数が裏付けていた。
「突然の着陸、申し訳ございません。国王をお願いしたい。ジダン王国のマックスと申します」
「私が国王だが。村みたいなものだから村長かな?」
アハハとみんなは笑い緊張がほぐれた。
「国王、突然の訪問申し訳ございません。通信を送ったのですが返信がありませんでしたので…」
「うちにはそんな技術はありません。あるのは鍋と鍬くらいで……もうみんなは帰していいですか?仕事がありますので……」
「はい、結構です」
「おい、みんな、兵隊さんにお茶を出してやってくれ。あなた様はなんとお呼びすればいいですか?」
「マックスで結構です。兵へのご配慮ありがとうございます」
「マックス王子、家の中へどうぞ。お茶でも飲みながら話しましょう!アリア準備して」
「はい」
アリアは父の堂々たる態度に感心した。いつも母から叱られている父ではなかった。
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「今日はまた、どういったご用で?」
「探しものです」
「探しもの?」
「はい」
「それがうちの遠い空国にあるのですか?」
「まだ、わかりません。探してみないと」
「お手伝いしますよ!」
「え?!」
「はい。国民全員で探せば早いでしょ?」
「探しているものは今、世界が血眼になって探しているものですよ!」
「そうなんですね。う~うちの国はいらないです」
「なんという人だ。遠い空国みんなの利益になるとしてもですか?」
「なるとしてもです。利益が大きければ大きいほどいりません。国民みんなわかってくれるとおもいますよ!」
「………」
「この国は山がなく平地なんです。それで空を遠くに感じるので遠い空と呼ばれるようになりました。また、大きな池もないので探しやすいと思います!探し物がなんだかしらないけれど……」
「多くの人が国王みたいな考え方をするのですか?」
「私みたいな考え方というのが何なのかわかりませんが王女は私にそっくりだと言われますね!」
「そうですか。王女を人質に貰います」
扉の建て付けが悪いのか強風カタカタと鳴り続けた。
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