✾紅人

俺の目の前にはさっきの俺のことを褒め称えていた男が何故か姿勢正しく正座をしている。

「あのぉ…すみませんでした。つい、理性というものが効かなくて…。神楽様の睡眠を邪魔してしまいました」

実に申し訳無さそうにその男は謝ってきたのだった。まぁ…こいつも悪気があって邪魔したんじゃないだろうしそもそも怒ってないしな。

「そんなに謝らなくてもいいから。お前の名前は?」

「私の名前ですか?紅人(もみじ)ですが…」

紅人か…まぁ確かに髪も瞳も紅いから納得の名前だな。

「それで…なんで紅人は俺に会いに来たんだ?」

「それは神楽様に逢いたくてですね、あわよくば…ごにょごにょ」

なんでそこで言葉を濁すんだよあわよくばの後が気になるだろ!

「それはともかく神楽様学校に行く準備をしないといけないのでは?」

え…もうそんな時間か?俺は壁にかけてある時計を見るともう朝の6時だった。

やばい…早く朝飯とか食べて準備しないとこいつに構っている場合じゃなかった!

俺は紫雨さんから貰った鈴を制服のポケットに入れてドタドタと足音をたて急いで学校に行く準備をしたのだった。

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