パワハラ物語
@ramia294
その男。
仕事が、出来ず。
社内の部署を転々とす。
入社以来。
長きに渡り。
バカにされ続け。
歪む心。
哀れなる。
その男。
努力する術、知らず。
真面目に、仕事に勤しむ、同僚。
先輩、後輩。
その男の彼等へ注ぐ視線、歪む。
バカにされ続けるその身。
ため息を産み出し。
空を仰ぐ。
歪む視線、周囲に向けると、同じく仕事を苦手とする輩、発見。
役付き、管理職、役員にまで、その存在有り。
仕事を出来る人々の言葉。
決して優しくなく。
時に、厳しい。
出来ない人々には、耐えられず。
出来ない人々。
生まれる仲間意識。
自然に集まり。
互いに慰め合う。
その言葉。
悪口、謗り、誹謗中傷。
出来る者達のこき下ろし。
彼等の交わす言の葉。
彼等の心に甘く。
彼等の心を心地良く浸食。
彼等の強い結束力を生み出す。
出来る者達。
仕事で、認められる事を望む。
出来ない彼等。
お互い。
憐れみ。
引き上げあう。
気づけば。
社内の役付き、管理職。
出来ない人々の巣窟と化す。
仕事、滞り。
客のクレーム多数。
出来る者達。
より良い道を進言する。
出来ない者達。
憐れみの仲間でない彼等の意見。
取り上げず。
辛辣な態度。
悪質なパワハラ。
出来ない仕事量。
押し付ける。
会社の損失。
その責任。
押し付ける。
出来る者達の役、引き剥がす。
出来る者達の給与、引き下げる。
忙しい中。
名目だけの会議。
連発。
会議に呼び出される出来る者達。
理不尽な説教。
出来る者達。
会議の主張の合理性の欠如。
訴える。
その者。
仕事から、外され。
ただ、居るだけの社内。
忙しく働く同僚からの視線。
申し訳なく思う。
ひとり、またひとり。
出来る者達。
その会社から、離れる。
気がつけば、出来る者達。
社内から、その姿を消す。
お互いを憐れむ。
仲間だけのその会社。
彼らには、住み心地。
良く。
ひとときの幸せ時間。
しかし…。
出来ない彼等。
その会社の評判。
すぐに、地に落ち。
ハイハイを始めた。
赤子の前の積木の家。
の…ごとく。
崩壊の道。
辿る。
いや…。
駆けぬける。
仲の良い仲間だった頃。
今は、昔。
なすりつけ合う。
責任。
かつてより、深刻なパワハラ。
その社内。
そこかしこ。
いよいよ、倒産のその時。
引き受ける、未了の仕事。
仕事を引き継ぐその会社の人々。
かつて。
彼等が、パワハラを以て、追い出した。
出来る者達。
恥も外聞も、元から無い彼等。
「助けてくれ」
すがり付く。
かつての、同僚。
答える。
「仕事を出来ない者達。我々は、関わらず」
その目。
その視線。
ゴミを見るかのごとく。
相手にされず。
ここに、根拠のない。
その男のプライド。
破壊される。
その男。
今は、ブルーシートの屋根の元。
かつての栄光。
出来る者達への愚痴。
繰り返す日々。
を…過ごす。
しかし、彼の周囲。
彼の話を聞く、人の姿。
見えず。
おわり
パワハラ物語 @ramia294
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます