○_014 敵性生物との闘い 02
俺はハルカゼの砲塔を超次元空間へと戻した後、飛翔武器を使っていた敵性生物へと近づいた。
戦闘中に、まあわかってはいたことだが、改めてその姿を確認するといろんな思いが込み上げてくる。
「これ、どうみても人間だよな。入植済みの星なのかよ。あーっ、末代までの豪遊計画が! ちくしょうめ、ぬか喜びさせやがって。ここには誰もいなんじゃなかったか?」
<おかしーですね。確かに自然現象以外での信号波の類は超次元空間含めて確認できていないのですが。入植後、完全撤退、もしくは文明を放棄したのでしょうか>
「文明放棄の線は残るか。こんな見たこともない飛翔兵器を使ってるくらいだ」
手に視線を落とすと、先ほどの棒の先に尖った金属のついた兵器。当たったところでスキンコートではじくだろうが、好き好んで食らう趣味もない。
そっとしゃがんで、倒れている人間の顔に触れる。手触りはまあ、人間だった。
<あれ、このニンゲン? 他の個体もそうなのかな>
「どうした」
<遺伝情報に不確定領域とか可変領域を包有してますよ?>
「は?」
コハルからのサンプル解析結果の報告に不穏な単語が含まれている。
<でも、うーん。やっぱそうなのかなー>
「なんだ歯切れ悪いな」
もう嫌な予感しかしない。
<何と言いますか、確証はありませんがこれ、
「バリアブルってのは後天的に身体能力やら器質やらを改良する奴だよな、それ? なんで違法技術がこんなところにあるんだよ、面倒事の臭いしかしねえよ! よし! 俺は何も見ていない!」
<いやいや無理でしょ、あなたは、あのビリーですよ?
「知らん、知らん!」
<あーあ、言っちゃったー。こんな現状で知らんぷりとか、証拠隠蔽ほう助の適用対象じゃないですか?>
「……ちくしょうめ」
<ではでは! 気分転換でもいかがです? コハルから魅力的な現実逃避のご提案でございます! 敵、機動戦力10機が接近中!
「だまれ! 脳筋戦闘狂! 殲滅なんてもってのほかだ! 俺は仲裁官だ!」
<みんな仲良く
「うっせ! 俺も当たり前に恥ずかしいんだよ!」
確かに俺の言い出したことではある。が、そんな冗談にGOサイン出したアホ極まりない国家AIめ、てめぇは絶対許さねえ!
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