狂った歯車

 思えばあの日、あそこを訪れたのが全てを狂わせた原因だったのだ。

 あの日、あの男に会いさえしなければよかった。



 体が動く限り、旅をして世界中を回るのが私の夢だった。



 なのに、その夢をあの男は簡単に壊した。

 壊して、踏みにじって、めちゃくちゃにした。



 ―――許さない。



 憎い背中に、何度もその言葉を叩きつけた。



 でも、私は自由にはなれなかった。

 まるで、鎖に繋がれた奴隷のよう。



 どんなに嘆いても、結局私はあの男に敵わない。





 それが、死にたくなるほどに悔しかった―――




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