第100話 格闘技もかなりの実力者


「ねぇ、そこの綺麗なお姉さん。 こんな冴えない男よりも俺たちと一緒に気持ちい事をしに行こうぜ?」

「絶対に俺たちの方がこんな冴えない男よりも気持ちよくできると確信をもって言えるからさ。 ほら、この冴えない男のひょろっちい身体に白い肌を見れば分かるだろう?」


 そして、俺彼見てそれだけ麗華が魅力的な女性であるという事は、他の男から見ても当然魅力的に映るとおう訳でもあり、この真夏の海にいる以上は脳内がおめでたい奴らに絡まれるのも仕方がないだろう。


 面倒くせぇな……。 さりげなく警察を呼ぶか……。 いや、ここでスマホを使って警察に通報しているのがバレたら何をされるか分からないくらいには低能なバカどもである(そもそも男がいる女性に声をかけて来る当たり知能は低いのだろう)。 ここは警察に通報し、通話状態にしたままでこいつらが絡んできている音声をそのまま流しておくべきか……。


 それならもし俺が麗華を助けに出て逆上されたとしても、現在地を織り交ぜて反抗すればまだ麗華を連れ去られる前に警察が到着する可能性は高いかもしれない。


「ちょっとお兄さんの腕を借りてもいいかしら?

「お、やっぱりお姉ちゃんもこんなもやし男よりも俺たちの方が良いよな。 分かってんじゃんk……痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!?? あがっ!?」

「そちらのお兄さんには首を借りるわね」

「へ? あぐっ!? ぐ、ぐるじぃぃぃぃぃいいいっ!!?? あ……………っ」


 この頭のおかしな奴らからどうやって麗華を守ろうかと試行錯誤していると、気が付いたら麗華によって流れるような綺麗な動きで腕受持固めを決められ、躊躇いもなく腕を折られ、その痛みで転げ回っており、残りの一名はリアネイキッドチョークRNCで首を絞められて、泡を吹きながら昏倒している。


 その余りにも華麗過ぎる動きからなのか、そもそもこいつらが元からここに来ている者たちに嫌われているのか知らないのだが、誰一人として通報するような素振りすらない。


「さ。ご主人様、 面倒な事になる前にここを離れて別の場所に移動しましょう」


 そして俺は思い出す。 確か麗華は護身用に習っていた格闘技もかなりの実力者であったと。


 しかし繰り出した技が関節技に締め落としとは、蹴りやパンチで相手を倒すよりも怖さを感じてしまうのは気のせいだろうか?


「…………あ、あぁ。 そうだな」


 そして、痛みで転がり回る男性と、昏倒して漏らし始めた男性をそのままにしてこの場から去って良いのかどうか一瞬だけ迷ったあと、麗華の言う通りこの場から離れるのであった。


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